2024年7月号|特集 REBECCA
2024年7月13日・東京昭和女子大学 人見記念講堂|REBECCA NOSTALGIC NEW WORLD TOUR 2024
レポート
2024.7.31
文/大窪由香
REBECCAの音楽が世代を超えて、リスナーの心に響き続けていることを改めて実感
2024年7月13日、東京・昭和女子大学 人見記念講堂にて、REBECCAのデビュー40周年を記念した全国ツアー<REBECCA NOSTALGIC NEW WORLD TOUR 2024>が華々しく開幕した。
7年ぶりの新曲「Daisy Chain / アシデケトバセ」(7月7日配信)や、初のUHD-BD/BD/DVD『Dreams on 19900119 Reborn Edition-Return of Blond Saurus-』(7月10日発売)のリリースや、テレビやラジオでのREBECCA特番など、ツアー開始に照準をあわせて高めてきたボルテージが、メンバーの登場とともに一気に爆発したように、オープニングからとにかく熱量が高かった。
NOKKO(Vo)、土橋安騎夫(Key)、高橋教之(Ba)、小田原豊(Dr)、是永巧一(Gt)、中島オバヲ(Per)を大きな拍手が迎え入れる。小田原と中島が鳴らすトライバルなリズムに合わせてクラップが沸き起こり、NOKKOの力強い歌が始まるや、会場は大合唱。ステージとフロアが一体化するのに必要な時間は一瞬だった。3曲歌い終えたところで、途絶えることのない大歓声に、思わず「お疲れさま」とNOKKOが笑った。
ステージは80年代のシングル曲やライヴで人気の名曲たちで構成された。40年の時を経てもなお、聴く者の心を掴んで離さないのは、80年代ならではのキラメキはそのままに、当時の楽曲を今の音色やグルーヴにアップデートしたバンドアンサンブル。それはツアータイトル通り、“NOSTALGIC”であり“NEW WORLD”な境地であった。その音の波を、NOKKOのパワフルなヴォーカルが乗っていく。軽やかなステップや、全身を使って音楽を表現するしなやかなパフォーマンスにも魅了された。
中でも白眉だったのは、親和性の高かった「真夏の雨」と新曲「アシデケトバセ」の流れ。この2曲についてはウェブマガジンotonanoのインタビューの中でNOKKOは、それまでヴォーカルの湿度が高すぎて不満をもっていた「真夏の雨」が、2022年のBillboard Live TOKYOでのライヴで初めて“しっくりときた”と感じられた経験が、「<アシデケトバセ>に繋がった部分があったかもしれない」と語っていた。そこで語られていた感覚的なものが、具現化されたように思う。土橋のスペイシーなインプロヴィゼーションから始まったレゲエ調のミディアムナンバー「真夏の雨」は、それまでのアップナンバーで高まった会場の熱をクールダウンさせ、NOKKOの伸びやかな高音ヴォイスを情感豊かにじっくりと聴かせる。続く「アシデケトバセ」を観客の前で生演奏するのは初のこと。小田原の力強いリズムを縫うように流れる、土橋の浮遊感のあるシンセサイザーと、高橋の温かみのある柔らかなベースの音色。その中を、まるで海の中を泳ぐように、漂うように、体を揺らしながら高音を響かせて歌うNOKKO。歌いながらポンと足で蹴る仕草も印象的だった。
長年のキャリアを感じさせつつも、新鮮さを失わないREBECCAの魅力が存分に発揮されたこの日のライヴは、観客もこぶしを突き上げたり、ピョンピョン飛び跳ねたり、大合唱したりと、ツアー初日とは思えないほどの盛り上がりと完成度。底無しの楽しさと、天井知らずの高揚感でいっぱいで、終始多幸感に満ちていた。往年のファンにとっては懐かしさと新しさが融合した感動的なステージとなり、新規のリスナーにとっては彼らの魅力を存分に味わえる貴重なステージとなったに違いない。本編を終えても興奮冷めやらぬ会場の大歓声にメンバーはアンコールで応えた。
この日を皮切りに始まった全国ツアーは、9月23日(月・祝)のファイナル公演、そしてこの日発表された10月の追加公演まで、各地でさらなる盛り上がりをみせることだろう。REBECCAがこのツアーを経て、どこまで進化していくのか、より一層楽しみに思う。REBECCAの音楽が世代を超えて、リスナーの心に響き続けていることを改めて実感させられた、記念すべきツアー初日となった。