2024年8月号|特集 アルファの夏!

【Part2】クニモンド瀧口(RYUSENKEI)がこの夏聴きたいアルファの名曲

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インタビュー

2024.8.13

インタビュー・文/金澤寿和 写真/島田香


【Part1】からの続き)

アーティスト性が出て普遍的なものが生まれやすいから、今になって聴くとB面に良い曲が多いと感じる


── それでは今回のメイン・テーマ「この夏聴きたいアルファの名曲」で、セレクトしていただいた曲を教えてください。今回はシングル盤で数枚お持ちいただいたんですよね?

クニモンド瀧口 はい。まずはコレです。アレッサンドラ・ムッソリーニ。イタリアの首相だったムッソリーニのお孫さん。これのシングルB面「甘い記憶」っていうのが、グッと来るんです。色っぽい歌詞に、林哲司さん風のメロディ・ラインで、夏に聴くとホントに気持ち良い。歌はカタコトの日本語ですけど、海外の方が「ア・イ・シ・テ・ル」とかって甘ったるく歌うと、何だがすごく色気があって、柔らかく聞こえる気がするんです。ソニア・ローザさんなんかもそうですけど。サウンドもシティポップ風で。当時はどこまで狙っていたのでしょうね。


アレッサンドラ・ムッソリーニ
「TOKIO FANTASY / 甘い記憶」

1982年発売


── オリジナル・アルバムは未CD化ですね。

クニモンド瀧口 ハイ、そうなんです。それで僕が選曲したコンピレーション『City Music Tokyo parallelism』(’23年)に入れていただきました。初めて聴いたのは、DJイベントでナツ・サマーが回していたんですよ。良い曲なので、「これ誰?」って聴いたら、ムッソリーニちゃんで。彼女のアルバムって、アナログはたまに見つかるじゃないですか。僕もジャケは知っていて。だけど昭和な時代には、キレイな外人のお姐ちゃんに歌わせるのって、よくあったから、すぐには手が出しにくい。ところが聴いてみたら意外に良くて……。コレもそうでした。ナツ・サマーも誰かにもらったらしくて、よく知らなかったんです。そこで調べてみたら、もうオークションではソコソコ値がつき始めていたので、探して速攻でゲットしました(笑)。



V.A.
『City Music Tokyo parallelism』

2023年3月22日発売


── 続いては鈴木コウさん。アルバムは去年CDになっていますね。『SA-RA-VAH STREET』。

クニモンド瀧口 これも当時はシティポップを意識していたのかどうか、ですけど。内容的にも少しベタですが、「Welcome Tokyo Night」とか、やっぱりカッコイイんです。夜っぽいアーバンな曲で。これは後追いで知って、DJをやるようになってから『SA-RA-VAH STREET』を聴いて、一番フィットした曲です。でもまさかシングルになっているとは知らなくて。データベースのDiscogsを見ていて、偶然シングルのB面になっているのを知り、慌てて探す、みたいな流れでした。そしてこれ、YUTAKAこと横倉裕さんの「LOVE LIGHT」。



鈴木こう
『SA-RA-VAH STREET』

1982年発売


── うわぁ~、これ、シングルがあったんですね! アルバムはフュージョン寄りの名盤として知られています。

クニモンド瀧口 僕が持っているのは、向こうのアルファのUS盤、アルファ・インターナショナルが出したもので、国内盤とはジャケットが違うんです。発売時期も確か国内より2、3年遅れで。琴とかを使っていてオリエンタルなテイストもあるんですけど、楽曲的には完全に都会的なフュージョン。



横倉裕
『LOVE LIGHT』

1978年発売


── パティ・オースティンとデュエットしていましたね。

クニモンド瀧口 そうです。アルバムを先に聴いて、一番好きだった曲が実はシングルに切られていた、というパターン。YUTAKAさんの場合は、僕は世代的にGRPから出したアルバムから入っているんですけど、掘っていったらコレに当たって。だから90年代に入ってですね、知ったのは。NOVOというソフトロック系のグループ出身というのは、『喫茶ロック』シリーズで知りました。でも僕はこのアルファの1枚目がシックリ来た。GRP時代の作品になると音がスムーズになりますが、この時期はもっとシンプルで音数少なめ。そこがイイんです。

── これは見たことないですねぇ~。長谷川みつ美の「スターダスト・レディー」。

クニモンド瀧口 このシングル単体だけで、アルバムは出してないシンガーです。’78年作なので、少し歌謡曲っぽいテイストがありますが、本当にメロディアスで、サウンドはシティポップしているの。そのバランスがイイんです。




クニモンド瀧口 (くにもんど・たきぐち)

RYUSENKEI / CMT Production。2001年に流線形として音楽活動をスタート。近年の世界的なシティポップ・リバイバルの流れで、アルバム『TOKYO SNIPER』が海外から注目される。現在はRYUSENKEIに改名してアルファミュージックから『イリュージョン』をリリース。また、選曲・監修したコンピレーション・アルバム『City Music Tokyo』シリーズを展開。CMT Productionとして、グラフィックデザイン、ブランディングなど、音楽を中心に多岐に渡り活動している。

https://linktr.ee/ryusenkei


RYUSENKEI Billboard Live 2024 〜ILLUSIONS〜
日時:2024/09/19 (木)
場所:Billboard Live TOKYO
https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-20031