2024年8月号|特集 アルファの夏!
③荒井由実『MISSLIM』|サブスクで聴くアルファの歴史的名盤
レビュー
2024.8.5
荒井由実
『MISSLIM』
1974年10月5日発売
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1. 生まれた街で
2. 瞳を閉じて
3. やさしさに包まれたなら
4. 海を見ていた午後
5. 12月の雨
6. あなただけのもの
7. 魔法の鏡
8. たぶんあなたはむかえに来ない
9. 私のフランソワーズ
10. 旅立つ秋
アマチュアとプロ、少女と女性という過渡期が宿した永遠のみずみずしさと切なさ
この2作目がリリースされたとき、荒井由実はちょうど二十歳。多摩美術大学に通う学生であったが、プロのミュージシャンとして多忙な日々を送っていた。デビュー作『ひこうき雲』は16歳までに書かれた曲で構成されていることはよく知られているが、この『MISSLIM』も10代のうちに書かれたストックも収められているが、ラストの「旅立つ秋」など数曲の新曲も収録されている。アマチュアとプロ、少女と女性という過渡期にあったからこそ、このアルバムは永遠のみずみずしさと切なさを宿しているのだと思う。
『魔女の宅急便』のエンディングテーマとしても知られる「やさしさに包まれたなら」はシンプルながらも心に響くメロディと温かみのある歌詞の曲だが、「海を見ていた午後」では横浜のレストラン“ドルフィン”を舞台にして失恋の切なさを詩的に表現したように、まさにひとつのアルバムで少女と女性のふたつの顔をのぞかせる。
文/油納将志
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