2024年8月号|特集 アルファの夏!

①アルファ・真夏のプレイリスト~ソフトロック編|マイ・フェイヴァリット・テープ~プレイリスト

プレイリスト

2024.8.1

選曲・文:馬飼野元宏



アルファ・真夏のプレイリスト~ソフトロック編



再生はこちら ▶

 ソフトロックの牙城といえば米国A&M、そして日本ではアルファミュージック。その後1978年にアルファレコードがA&Mとライセンス契約を結ぶことになるのも、ある種の必然と言えるでしょう。ソフトロックに関しては、赤い鳥とガロだけでプレイリストが埋まってしまいそうですが、他にも知られざるソフロ名曲はたくさんあります。

 「公園通り」は渋谷パルコ開業記念にプロモ・オンリーで発表された曲ですが、2024年に待望のシングル化がなされました。兄妹デュオのデビッド&ミッシェル、後期カーナビーツに参加したポール岡田とジャズシンガー寺門由紀子の男女デュオ、パイシスはどちらもハーモニーの美しさが魅力。後者は作者の荒井由実が、自身のアルバムで岡田真澄とのデュエットでセルフカヴァーしています。

 70年代のトップアイドル天地真理の温かみあるヴォーカルは、村井作品との相性の良さを感じさせます。美しいボーイソプラノの持ち主、ルネ・シマール「朝露のきらめき」は松任谷正隆アレンジが秀逸な1曲。やはりソフトロックは陽の当たる朝のイメージにピッタリ。そして未来への希望を歌い上げる、札幌オリンピックのテーマ「虹と雪のバラード」も誰もが知る名曲です。

 NHK『ステージ101』出身の小林啓子、元ビーバーズの成田賢といった実力派に続いては、ジャズ・ドラマー石川晶の歌う、シャバダバ感が鮮烈な「土曜の夜に何が起ったか」。まさかの美空ひばりmeets村井邦彦によるバカラック歌謡「小鳩のように」。やはり村井作品を歌う江利チエミ「旅立つ朝」と、ベテラン・シンガーも魅力的なソフトロック作品を披露しています。

 アルファレーベルの第一弾シングル、フィフィ・ザ・フリー「栄光の朝」は、完璧にアソシエイションやトレメローズを意識した作品。ハーモニーのもたらす高揚感とスケール、ポジティヴ思考は何物にも変え難い魅力があります。 ラストは幾多のアーティストに歌い継がれた名曲「美しい星」。やはりオリジナルの赤い鳥で締めくくりましょう。