2024年6月号|特集 あぶない刑事と音楽

【Part3】検証! “あぶ刑事”と音楽の歴史|1989-1992

会員限定

解説

2024.6.17

文/高島幹雄


●映画第3作『もっとも あぶない刑事』(1989)


【Part2】からの続き)

 『もっと あぶない刑事』の終盤には3作目の映画が告知されていた『もっとも あぶない刑事』は、GW映画として4月22日にロードショー公開がスタート。前2作品は併映作品との2本立てだったが、本作はあぶ刑事初の単独興行となった。当時はTVドラマの映画化に対して興行的に弱いと思われていたが、あぶ刑事のムーヴメントはその定説をくつがえしたのだ。

 本作の音楽アイテムはファンハウスからリリースされたアルバムとエンディング・テーマのシングル。公開と同日の4月22日に『もっともあぶない刑事 オリジナル・サウンド・トラック』がCDとカセットテープの2形態で発売。プロデュースは志熊研三から都志見隆に変更になった。『帰ってきた あぶない刑事』でキーの一つでもある音楽として新たにレコーディングされた「WHERE DO YOU GO FROM HERE?」は、この映画で誕生した。「WHERE DO YOU GO FROM HERE?」は、『もっともあぶない刑事 オリジナル・サウンド・トラック』の1曲目にヴォーカル入りが、中盤にインストゥルメンタルが収録された他、シンセのソロなどのいくつかのヴァリエーションが、シーンに合わせて作られており、『もっとも』のメインテーマといってもいいだろう。


『もっともあぶない刑事 オリジナル・サウンド・トラック』
1989年4月22日発売
*配信はオリジナル盤とは内容が異なる場合があります


 アルバムは舘ひろしが歌うエンディング・テーマ「夜を抱きしめて」、当時ファンハウスの契約アーティストだったSING LIKE TALKINGの「ON THE CRAZY STREET」、それに英語詞による楽曲などの全10曲で構成されている。「WHERE DO YOU GO FROM HERE?」のインストゥルメンタルも含めた8曲は、前作までと異なり、日本人ミュージシャンの音を使わずに全てのパートがロサンゼルスでレコーディングされた。

 エンディング・テーマ「夜を抱きしめて」は、前年にリリースされた舘ひろしのオリジナル・アルバム『GOLDEN SHADOW』の中から選ばれた。シングルは公開から約1週間後の5月1日に8cmCDシングルとシングル・カセットの2形態で発売。「夜を抱きしめて」についてのエピソードは今号の舘ひろしへのインタビューをお読みください。

 一方、柴田恭兵による挿入歌は新曲ではなく、原点回帰のように第1TVTVシリーズの時にシングル・レコードでリリースされたMIXの「ランニング・ショット」が使われた。
 
 『もっとも あぶない刑事』でシリーズは終了。TVドラマや映画による熱く長いあぶ刑事ブームも一旦終焉を迎えたように思われたが……。




高島幹雄 (たかしま・みきお)

バップ勤務時より『あぶない刑事MUSIC FILE』など音楽をアーカイヴするCDの企画制作や映像商品の制作に参加。ソニーミュージック発売の企画制作CDは『あぶない刑事 TAKA THE BEST』(’12年)『あぶない刑事ORIGINAL ALBUM COMPLETE』(’16年)『「あぶない刑事」NON STOP BEST』(’16年)『あぶない刑事オリジナル・サウンドトラックスペシャルエディション』(’23年)。他に新刊『あぶない刑事マニアックス』(講談社)の企画と構成・執筆。

『あぶない刑事マニアックス』
(講談社)







『帰ってきた あぶない刑事』
2024年5月24日劇場公開


舘ひろし 浅野温子 仲村トオル 柴田恭兵
土屋太鳳
西野七瀬 早乙女太一 深水元基
ベンガル 長谷部香苗 鈴木康介 小越勇輝 / 杉本哲太
岸谷五朗 / 吉瀬美智子

監督:原廣利
脚本:大川俊道 岡芳郎
製作プロダクション:セントラル・アーツ
配給:東映
©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

https://abu-deka.com

↑↑↑↑『あぶない刑事 オリジナル・サウンドトラック』スペシャルサイトはこちら↑↑↑↑