連載|伊波真人のシティポップ短歌

今月のお題「ケン田村 / FLY BY SUNSET」

2024.6.17

今月のお題

ケン田村/ FLY BY SUNSET1982年


もともとはソングライターとして歌謡曲やニューミュージック系の歌手に楽曲提供していた日系三世アーティスト。1981年にファースト・アルバム『Light Ace』を発表し、本格的にソロ・デビューを果たした。本作はその翌年にリリースされたセカンド・アルバムで、ウェストコーストのAORを意識したドライな感覚のポップ作に仕上がっている。メロウ・グルーヴ・ナンバーの「A Little Bit Easier」や、文字通りダンサブルな「踊りなよ」、リゾート感覚に溢れた「Foot Steps」や「渚のストローハット」など聴きどころが多い。ジャケットの夕日の写真が似合うアーバンでアダルトなアルバムだ。

くるくると受話器のコード繰る指に 編み物のよう愛を託してくるくると受話器のコード繰る指に 編み物のよう愛を託して



伊波真人(いなみ・まさと)

歌人。1984年、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学在学中に短歌の創作をはじめる。2013年、「冬の星図」により角川短歌賞受賞。雑誌、新聞を中心に短歌、エッセイ、コラムなどを寄稿。ポップスの作詞家としても活動中。ラジオ、トークイベントへの出演なども行う。音楽への親しみが深く、特にシティポップ、AORの愛好家として知られる。著書に、歌集『ナイトフライト』などがある。