2024年6月号|特集 あぶない刑事と音楽

【Part3】『あぶ刑事JAZZ』『帰ってきた あぶない刑事 オリジナル・サウンドトラック』|について|安部潤(音楽プロデューサー)

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インタビュー

2024.6.18

インタビュー・文/高島幹雄 写真/島田香


サウンドそのものの再現というよりは、あの時代の音が持つ質感の再現が難しかったんですね(安部潤)


【Part2】からの続き)

── 続いて、安部潤さんから見た、安部潤&THE SECRETSのメンバーについてお伺いしたいと思います。まず、ベースのマーク・トゥリアン(MARK TOURIAN)さんを。

安部潤 先ほどお話しした映画の演奏シーンに出る時は、僕以外のミュージシャンは外国人を集めたいということだったんですけど、レコーディングに参加したベースのパット・グリン(PAT GLYNN)さんが来られなくなったので、ドラムのデニス・フレーゼ(DENNIS FREHSE)さんの紹介で来ていただいたんです。

── ということは、撮影現場で知り合ったんですね。安部さんから見た初対面の印象は覚えていらっしゃいますか?

安部潤 いい人そうだなって(笑)。THE SECRETSの皆さんはあまり外国人という感じがしないんですよね。人間的にはみんな地元のクラスの友達みたいな感じで(笑)。日本語もうまいですから。

マーク・トゥリアン(bass)


── ならば、レコーディングやライヴでのコミュニケーションもスムーズですね。マークさんのプレイスタイルはどうなんでしょうか?

安部潤 腕利きのジャズ・ベーシストなんですが、どんなタイプの曲も素晴らしくて、『あぶ刑事JAZZ』では本領を発揮してもらえましたね。

デニス・フレーゼ(drums)


── そのマークさんを紹介したドラムのデニスさんはどんな方ですか?

安部潤 すごく気さくで、どんなオーダーにも応じて叩いてくれますね。ドラムの音が綺麗なんです。デニスさんだけでなく、マークさんも、フィルムコンサートではジャズではないタイプのポップスだったりロックなタイプの曲も多かったけど、やるのは好きだと言っていたので、うまく対応してくれましたね。

── サックスのグスターボ・アナクレート(GUSTAVO ANACLETO)さんはどんな方でしょう?

安部潤 グスターボさんはずっと以前に杏里さんの現場で知り合ってから仲がいいんです。ブラジル人なんですが、なんとなく性格が日本人っぽいんです。

グスターボ・アナクレート(sax)


── プレイスタイルや奏でるサウンドはどんな感じですか?

安部潤 日本人が好きそうな歌心があるサックス音で、美川憲一さんとか幅広いジャンルの現場で演奏してます。ブラジル人だからサンバ的な曲をやれば、本場の音が出てきますしね。多才なんです。

── 『あぶ刑事JAZZ』での安部潤&THE SECRETSのレコーディングは、せーので一発撮りだったのでしょうか? それともパートごとに録っての重ねだったのでしょうか?

安部潤 アルバムのテーマと性質上ほぼ一緒に演奏しました。


安部潤&THE SECRETS
『あぶ刑事JAZZ』

2024年5月8日発売


── アルバムの全編を通して聴くとジャズのライヴ・ステージを感じるのは、その録り方にもあるような気がします。インストゥルメンタルの「Where Do You Go From Here?」から始まって、最後はボーナス・トラックではありますけど、アンコールに同曲のロザリーナさんのヴォーカル入りがあって、ライヴが終わる感じです。

安部潤 ああ、なるほど。安部潤&THE SECRETSですでに何回かライヴをやっていて、今度は9月にもライヴがあるんです。「Where Do You Go From Here?」から始まって、佐久間さんが『あぶ刑事JAZZ』という企画アルバムにまで発展させてくださったんですけど、今度はこのメンバーで自分のオリジナル曲でもアルバムを作りたいと思ってはいるんです。

── それが実現できたら素晴らしいですね! そして、待望の『帰ってきた あぶない刑事』。サントラ盤の収録曲全30曲の中で、柴田恭兵さんの挿入歌、舘ひろしさんのエンディング・テーマも含めた過去のシリーズにあった楽曲のリメイク、それにロザリーナさんの挿入歌「no plan」も加えると安部さんが10曲を担っています。特に過去の楽曲のリメイクについてお伺いします。リミックスに近い作業だったと思いますが、エピソードを紹介していただけますか?

安部潤 映画の音楽プロデューサーでもある佐久間さんから、当時と全く同じ音で再現してほしいというオーダーだったんですが、80年代のあの音を今また作るっていうのが、実は難しいんですよ。

── どんな理由で難しいんでしょう?




安部潤 (あべ・じゅん)

音楽プロデューサー、アレンジャー、ピアニスト、キーボードプレーヤー。1968年3月1日生まれ 福岡県出身。3歳より、ピアノ講師である母のもとピアノを始める。’92年より上京し、作編曲家・サウンドプロデューサーとして、Jポップ、ジャズ・フュージョンシーンにおいて、数多くのレコーディング、ライヴツアーに参加。また、テレビやラジオのCM音楽、映画など、多岐に渡るジャンルの音楽を、幅広く手がけている。米、北欧、アジアでのレコーディングやライヴなど海外視野の活動も積極的に行っている。

安部潤オフィシャルサイト https://junabe.jp/

安部潤&THE SECRETs
『あぶ刑事JAZZ』

2024年5月8日発売


『帰ってきた あぶない刑事 オリジナル・サウンドトラック』
2024年5月8日発売


『帰ってきた あぶない刑事 オリジナル・サウンドトラック』における安部潤の参加楽曲
01.ABUNAI DEKA opening theme/初出作品:TVシリーズ『あぶない刑事』
06.Running Shot 2024 MIX/初出作品:TVシリーズ『あぶない刑事』
09.Bacon Ham And Scrambled Eggs/初出作品:TVシリーズ『あぶない刑事』
10.Where Do You Go From Here?(Vo.ロザリーナ)/初出作品:映画3作目『もっとも あぶない刑事』
11.no plan(Vo.ロザリーナ)アレンジ
13.Where Do You Go From Here? another version/初出作品:映画3作目『もっとも あぶない刑事』
17.Cops And Robbers/初出作品:TVシリーズ『あぶない刑事』
27.On The Run vo:木村彩乃 /初出作品:映画第2作『またまたあぶない刑事』
28.So Fine/初出作品:TVシリーズ『あぶない刑事』*オープニングテーマのアレンジ
30.翼を拡げて 2024 re-recorded version/初出作品:映画第2作『またまたあぶない刑事』






『帰ってきた あぶない刑事』
2024年5月24日劇場公開


舘ひろし 浅野温子 仲村トオル 柴田恭兵
土屋太鳳
西野七瀬 早乙女太一 深水元基
ベンガル 長谷部香苗 鈴木康介 小越勇輝 / 杉本哲太
岸谷五朗 / 吉瀬美智子

監督:原廣利
脚本:大川俊道 岡芳郎
製作プロダクション:セントラル・アーツ
配給:東映
©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

https://abu-deka.com

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