2024年5月号|特集 大江千里『1234』
⑭RCサクセション『COVERS』|『1234』につながる1988年邦楽アルバム
レビュー
2024.5.22
RCサクセション
『COVERS』
1988年8月15日発売
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1. 明日なき世界
2. 風に吹かれて
3. バラバラ
4. シークレット・エージェント・マン
5. ラヴ・ミー・テンダー
6. 黒くぬれ!
7. サマータイム・ブルース
8. マネー
9. サン・トワ・マ・ミー
10. 悪い星の下に
11. イマジン
乾いたユーモアやロック〜ポップス史への偏愛が随所に染み込んだカヴァー作
本作といえば、痛烈な反原発・反戦思想が込められたその政治色の強さが真っ先に語られてきた。しかしながら、今じっくりと聴いてみると、そうした政治的な問題意識と同じくらいに、乾いたユーモアやロック〜ポップス史への偏愛が随所に染み込んでいるのを再確認できるだろう。RCサクセションというバンドの、そして忌野清志郎という人の音楽観の奥底には、つねにシャイネスとアイロニーがあった。この作品の“メッセージの力強さ”は、そうした資質があってこそ説得力をもって発散されるものであったことを知るべきなのだ。直接的にモノを言わなそうなシャイな人があえてロックバンドをや(演)っている、そういう反転性とメタ性こそが、RCの音楽を永遠に輝かしいものにしているのではないか。
文/柴崎祐二
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