2024年5月号|特集 大江千里『1234』

【Part3】メンバー&スタッフが語る『1234』ツアーの舞台裏

会員限定

座談会

2024.5.20

インタビュー・文/大窪由香 写真/島田香

※左から、濱田“Peco”美和子、高橋和孝、村田直美、豊広純子

【Part2】からの続き)



全部絞り出さないと気が済まない、絶対に手を抜かない、いつも全力だった



高橋和孝 アルバム『1234』で思い出すことといえば、その頃に千里さんが住んでいるところが、ちょっとお化けが出るところだったらしくて。

濱田“Peco”美和子 あー、あったね(笑)。

高橋和孝 『1234』のレコーディング中、その大変な部屋にずっと住んでいて(笑)。だから『家に帰ってもあんまりリラックスできなかったけど、そういう中で作りきったアルバムだ』って言ってましたよ。

豊広純子 それが『1234』だと(笑)。

高橋和孝 僕もレコーディングを何回か見学させてもらったんですけど、『1234』はレコーディングの最中に変わっていったことが結構いっぱいあるんですよね。たとえば僕が見たのは「昼グリル」のリズム録りの時で、譜面上では最初、ベースがレゲエではなくもうちょっとR&Bっぽい感じだったんですよ。ベースの美久月(千晴)さんが一回目はその通りに演奏してたんだけど、次にそのフレーズを変えて弾き始めちゃって。で、少しマニアックな感じになったから、アレンジャーの大村(雅朗)さんが千里さんに「こんな感じになっちゃったけどいい?」って聞いたら、「全然いいですよ」って返してました。あと、「Rain」のこともよく覚えていて、その前のツアーのNHKホール公演の時に、本番前にメンバー楽屋に千里さんがトントンって入ってきて、「新しい曲の歌入れをしたんだよ」って言って、まだラフミックスで歌った「Rain」を、メンバーに聴かせてくれたんですよ。それを聴いて、すごいいい曲だなって思って、「これ、絶対いいですよ」って千里さんに言ったんですよね。千里さんが歌入れしたラフなものを聴かせてくれたのって、その「Rain」だけだったから、すごく手応えを感じてたんだと思う。

豊広純子 「Rain」はすごく気に入ってたもんね。

濱田“Peco”美和子 いい曲だよね。いろんな方がカヴァーしていて、それぞれに素晴らしいんだけど、あの千ちゃんの微妙にしゃがれた声がよく合うんだよね。ちゃかはしのおかげで、いろんなことを思い出してきた。

高橋和孝 『1234』ツアーは、最初に河口湖のキャメロットスタジオでバンドの音のリハーサルから始まったんですよね。何日間かバンドだけでリハーサルをやった後に、コーラスのお二人がやってきて、「音は出来上がったの?」ってコーラスを入れていくんですよ。そこで二週間ぐらいやったかな。その後に東京のスタジオに戻って、千里さんとコーラスのお二人と僕とギターの中野豊さんが参加して振り付けの中村龍史先生とステージングのリハーサルを一週間やって。で、ステージングのリハが終わったら、もう一週間ドラムとかキーボードとか、バンドのメンバー全員でリハーサルをするっていう流れでやってて。トータルでだいたい一カ月ぐらいかけてたんですよね。

村田直美 よく覚えてるよね(笑)。



濱田“Peco”美和子 『1234』の時だったかどうかは覚えてないけど、夜中までリハをやってたよね。

豊広純子 最初の頃のツアーは、始まりが遅かったんだよ。

高橋和孝 だから夏休みの間中リハーサルをやって、ゲネプロを戸田市民会館とか綾瀬にあるホールでやってね。それで9月1日に神戸で初日を迎えるんですよ。

村田直美 そうだね。神戸からスタートっていうのが多かったよね。千里さんの地元だから。

高橋和孝 9月1日って防災の日でしょ。新幹線で出発する時に、ヘリコプターがよく飛んでた覚えがある。

濱田“Peco”美和子 ということは、『納涼(千里天国)』が終わったら、すぐにリハをやってたってこと?

高橋和孝 いや、『納涼』が始まってから、秋冬のツアーが10月始まりとか、少し後にずれたと思う。

村田直美 確かに、そうだったね。

高橋和孝 今回出る『1234』のBlu-rayに入る日本武道館公演の映像を頭から最後まで久しぶりに見たんだけど、「YOU」の時のメンバー紹介で、千里さんが着替えてたでしょ。

村田直美 そうそう。2人(豊広、濱田)がメンバー紹介してるの。

高橋和孝 紹介されたメンバーが順番にアカペラで歌ってる時に、後ろで千里さんやスタッフが走ってわーってやってる映像があるじゃないですか。ギリギリのところで着替え終わって、帽子を被せてぐわっと上がって千里さんがバーンと出てきて歌うところでちょっと泣きそうになって。

豊広純子 なんで?(笑)




↑↑↑↑大江千里デビュー40周年スペシャルサイトはこちら↑↑↑↑