2024年5月号|特集 大江千里『1234』
⑫桑田佳祐『Keisuke Kuwata』|『1234』につながる1988年邦楽アルバム
レビュー
2024.5.20
桑田佳祐
『Keisuke Kuwata』
1988年7月9日発売
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1. 哀しみのプリズナー
2. 今でも君を愛してる
3. 路傍の家にて
4. Dear Boys
5. ハートに無礼美人(Get out of my Chevvy)
6. いつか何処かで(I feel the echo)
7. Big Blonde Boy
8. Blue ~ こんな夜には踊れない
9. 遠い街角(The wanderin’ street)
10. 悲しい気持ち(Just a man in love)
11. 愛撫と殺意の交差点
12. 誰かの風の跡
ひとりのシンガー・ソングライターとしてのパーソナルな視点も持つ初のソロ作
大江千里『1234』にはキーボードとして参加していた小林武史が、共同アレンジ・プロデュースとして全面的に関わった桑田佳祐の初ソロアルバム。桑田と小林の蜜月関係はこの制作を皮切りに、ササンオールスターズのシングル「クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る)」(’93年)まで続くこととなる。
当時デビュー10周年を迎えていたサザンオールスターズでも、海外を視野に入れたロック・サウンドを模索したKUWATA BANDでもないことをやりたいという、当時32歳の桑田のクリエイティヴィティと野心がとにかく燃え盛っている作品だ。冒頭ブライトなアコースティック・ギターとリヴァーブの効いたシンセサイザーから始まる「哀しみのプリズナー」のイントロは、まさに自らの殻を破り裂くかのよう。現在まで続く桑田ソロの幕開けとしてあまりにも偉大だ。加えてそこに続く歌い出しの発語感のフレッシュさったら!
文/峯大貴
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