2024年5月号|特集 大江千里『1234』

①「GLORY DAYS」|Disc-1 CD『1234』|『1234 ~Special Limited Edition~』徹底検証

レビュー

2024.5.1

文/ドリーミー刑事


楽曲に対する真実性を高めるキャリア史上屈指のオープナー

 ’83年のデビューから5年。大江千里のアーリーデイズの集大成であり、今なお聴き継がれるアルバム『1234』の幕を大胆かつ華々しく開ける「GLORY DAYS」。ダリル・ホール&ジョン・オーツやブルース・スプリングスティーンといった80年代を代表するアーティストの力強さと90年代にかけて時代を席捲することになるEPIC・ソニーの盟友・小室哲哉の肯定感が融合したかのようなシンセサイザーのリフレイン。そして以降10年間のJ-ポップのギターサウンドの方向性を決定づけるような佐橋佳幸による立体的なディストーション・ギター。この80年代と90年代がスリリングに交錯する冒頭の8小節だけですでに勝負あり、と言いたくなるイントロである。しかしこの力強さがどこから来るかと言えば、やはり、恐れるものなんて何もないというような、これ以上ないほど直截的に言い切る大江千里の歌詞と、そのメッセージを受け止めるのにふさわしいドラマチックなコード展開と五線譜を駆け回るメロディに他ならない。言葉の一つひとつを噛みしめ、音符の上に焼き付けていくようなヴォーカルもまた、楽曲に対する真実性を高めると共に、ここから始まるアルバム全体の充実ぶりを伝えてくる。大江千里のキャリア史上屈指のオープナーと断言して間違いないだろう。




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