アネックス|TM NETWORK 40+

【Part7】2021年~2024年|TM NETWORK 40周年特集|TM NETWORK 40+

2024.5.3





Document


40周年解説ドキュメント[Part 7:2021-2024]


40年に及ぶTM NETWORK活動史を、作品、ライヴ、同時代における重要トピックと共に総括するドキュメンタリー。連載全7回のラストは、いよいよ現在進行形の活動へと繋がる2020年代へ。再起動へ至ったストーリーから40周年ツアーまで、感動と興奮に満ちたその道程を追った。


文/ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)


2021年宇宙の旅、TM NETWORK再起動


 TM NETWORKの活動がスリープ状態となってから、2039日。

 2021年10月1日、公式メッセージが届いた。

 2012年から2015年にわたる30周年プロジェクトを大成功で締め括ったのち、活動が凍結されていたTM NETWORKが動き出す。

 再起動の第一弾は『How Do You Crash It?』と題された、10月から隔月で配信される3回連続のオリジナルライブ映像作品。

 6年ぶりの新曲「How Crash?」や、「Get Wild」「BE TOGETHER」「SEVEN DAYS WAR」などヒット曲を中心としたライブパフォーマンスと、TM NETWORKならではのサイバーパンクなストーリーが絡み合う内容となっている。

 テーマは、「Everyone makes mistakes, How do you crash it?(直訳:誰もが間違いを犯す、どうやってそれを壊していく?)」 なぜ今、彼らがこのテーマを掲げたのか、新曲「How Crash?」が謎を解く鍵となるはずだ。

(ニュースリリースより)


 キーワードは“再起動”。ふたたび電源に火が灯されたのだ。




“ビデオスター”から“ストリーミングスター”への変化


 この時期、たくさんのアーティストがコロナ禍による活動制限に悩まされ続けながら、ニューノーマルならではのライヴパフォーマンスをオンライン上で模索してきた。

 TM NETWORKは、その最適解を示した。

 それが、現実と非現実の間にあるNetflix的シアトリカルなエンタテインメントだ。とある賢者は言った。“ビデオスター”から“ストリーミングスター”への変化だと。

 時代が、TM NETWORKが80年代に描いていた構想にようやく追いついたのだ。

 3回にわたって先行展開された配信ライヴと、その後、曲順が変更されBlu-rayとして販売された『How Do You Crash It?』シリーズは、確実にネクストへつながる内容だった。

 “潜伏者”であるTM NETWORKの3人に課せられたミッション。それは、地球上の様々な課題である“分断”をストップするための活動への“スタンバイ”。

 ドラマパートが差し込まれたことで進行していくシネマティックなストーリー。伏線の回収、未解決の謎の数々が、余韻をより深いものにしていく……。




再起動のきっかけは“Dragon The Carnival”


 そもそもTM NETWORK再起動のきっかけとなったのは、2019年に行われた宇都宮隆のツアー『Takashi Utsunomiya Tour 2019 Dragon The Carnival』だった。

 ソロツアーながら、全曲TM曲をセルフカバー。土橋安騎夫、浅倉大介、nishi-kenという、敢えてキーボーディスト3人をライヴメンバーに揃え、しかもツアー・タイトルはTM楽曲の「DRAGON THE FESTIVAL」を彷彿とさせた。当時、35周年、TM NETWORKとしては動けなかったけれど、小室哲哉不在の音楽シーンにおいて宇都宮はTM NETWORKという存在を世に問いかけた。

 続いて、FANKSによるアクションもシグナルとなった。世界がパンデミックに揺れる直前、2019年12月19日にShibuya duo MUSIC EXCHANGEで開催されたTM NETWORK35周年を祝う『TM NETWORK RESPECT NIGHT Come On Let’s“FANKS”!!』。FANKS のFANKSによるFANKSのための感謝祭では、TM NETWORKの3人へのメッセージを募り、そして届けた。みんな諦めていなかったのだ。

 その願いが通じたのかもしれない。

 その後も、宇都宮によるアクションは続いた。2020年開催、木根尚登も参加した『tribute live SPIN OFF T-Mue-needs』は、TMトリビュート企画であり、なんとキーワードにFANKSならばお馴染みの“T-Mue-needs”があらわれた。そして年末に宇都宮と木根が開催した『年忘れ!!歌酔曲vsフォーク 〜ハタシテ?ドチラが勝つでショー〜』では、サプライズで審査員として招かれていた小室が、アンコールでステージにあがったのだ。

 しかもここでは、TM NETWORKの大切なナンバー「TIMEMACHINE」、そして昭和を代表する加藤和彦による名曲「あの素晴しい愛をもう一度」を共に奏でた。

40周年へ向けての再起動、分断、そしてスタンバイ


 話を巻き戻そう。TM NETWORKは、1984年にデビューした。22世紀から現在の地球へタイムマシンで時を越えてやってきたという設定で繰り広げられたコンサート。キーワードは、楽曲としても発表されている「ELECTRIC PROPHET(電気じかけの予言者)」。プロットとなる小説も存在した。しかし、当時はコンセプトと熱意ばかりが先行し、様々な表現活動において機材や環境が追いつかなかった。80年代初頭、パソコンやデジタル・オーディオ・ワークステーションはもちろん、CDやビデオデッキ、携帯電話すら普及していない時代だ。TM NETWORKが描いていた構想は、映像を軸とした展開、打ち込みサウンドでのシアトリカルなショーなど、あまりにも早すぎた。

 結果、軌道修正を求められた。

 しかしながら、その過程でライヴを想定したFANKSというキーワード、ファンと想いを共有する思想が生まれ、ダンスミュージックへの接触、ミュージカルを取り入れたロックショー、さらなるロックバンド化など、様々な枝葉が派生した。時代とともに進化し続けるというジャンルにとらわれない活動であったからこそ、TM NETWORKは音楽シーンに名を刻み、今もなお作品が古びることのない文化となったことはいうまでもない。

 もちろん、シグネチャーとなる宇都宮のシンガーとしてのずば抜けた才覚。天才ヒットメーカー小室、木根によるメロディアスな傑作バラードとコーラスワークやマルチプレイ。そんな3人のフレンドシップが、年々、ジャンルがミューテーションしていく作品群においても、変わらぬ安心感を与えてくれたのだ。

 そして来るべき40周年へ向けて、完全復活の時はきた。

 2021年に再起動したTM NETWORK。サイバーパンクなストーリーによる3部作シリーズとなった配信ライヴ『How Do You Crash It?』によって、止まった時計の針を動かした小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登による3人。まるでNetflixの映像コンテンツのように解像度高めに物語は核心へと進んでいく。

 キーワードは“潜伏者”だ。




 なかでも、Blu-ray作品『How Do You Crash It?』へ追加されたドラマ映像にて、潜伏者として活動するTM NETWORKの3人とともに、エキゾチックな顔立ちの少女の存在が気になった。

 次世代を担うようなアイコンのようなイメージだったのだ。

 彼女は、劇中でメモリーを搭載したバトンの存在を知る、彼女もまた潜伏者として活動をしているようだ。バトンとは“受け継がれるもの”というメタファーでもある。小室の発言を引用したい。

 「あの少女の存在は、確実に『Self Control(方舟に曳かれて)』のロングスパンな映像『Self Control and the Scenes from “the Shooting”』から続いていた流れで。当時もいたであろう難民や飢餓状態の国であったり、ディストピアな世界を描いていたのがあのミュージックビデオで。想像力豊かな方は、あの映像に登場した子が年齢を重ね、子供が生まれて、受け継がれているということがわかるんじゃないかな。非常階段を上っていく女の子がいるんですけど。ひとり似ている子がいますよ。その人が、お母さんになっておばあちゃんになって。子供がいて、という」(小室 / 『B-PASS ALL AREA』Vol.12より)


 セカイは分断したように見えて、すべてはパラレルにつながっていたのだ。




FANKSであるあなたは、ただの傍観者ではない


 2022年7月29日からリスタートしたTM NETWORKコンサートツアー『TM NETWORK TOUR 2022 “FANKS intelligence Days”』は、開演前から新たなテクノロジーを活用したストーリーテリングが話題だ。

 「2015年、横浜アリーナでの30周年ライブの最後にバトンを僕らからみんなに預かっていただいたと思うんです。あの時はQRコードだったんだけど。QRコードって、中国でのキャッシュレス化の象徴的存在だったんだよね。なので、今の時代だったらと考えるとNFTというデジタルデータに鑑定書を付けるテクノロジーに注目をしていて。それこそバトンの預かり場所になるのかなって」(小室 / 『B-PASS ALL AREA』Vol.12より)


 ツアーのオープニング曲「Please Heal The World」を、『The Baton EP』としてLINE NFTにて“NFT”フォーマットで実験的にリリースしたことは、レコード&カセット時代に、CDのみでリリースしたベスト・セレクション・アルバム『Gift for Fanks』や、まだ一般的には電話回線の時代にインターネットで新曲フリー・ダウンロードを実現してきたTMらしい画期的な試みだ。ツアー前に1曲目となるオープニング曲を事前公開したことも初めてだった。

 さらにツアータイトルに込められた“intelligence”というワードには、“知能”、“情報”、そして“諜報”としての意味がある。TM NETWORKメンバーとともに、潜伏者である僕らFANKSは諜報活動というミッションを与えられ物語に没入していくイメージだ。

 そう、FANKSであるあなたはただの傍観者ではない、物語に登場する潜伏者のひとりなのである。




全11曲収録の最新作品集となる『DEVOTION』


 物語はまだまだ続いていく。

 2023年6月13日、TM NETWORKのデビュー40周年の口火を切るスターティング・プロダクツ『DEVOTION』のリリースを記念した前夜祭イベント『TM NETWORK FANKS THE PARTY 2023 feat. "DEVOTION"』が、EX THEATER ROPPONGIにて開催された。

 新曲含め、全11曲収録の最新作品集となる『DEVOTION』は、2022年に行った全国ツアー『TM NETWORK TOUR 2022 “FANKS intelligence Days”』にて披露した「How Crash?」、「WE LOVE THE EARTH(TK Remix)」や、アニメ映画『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』挿入歌である「DEVOTION」や「君の空を見ている」。そして、1983年のTM NETWORK結成時に生み出され、40年の時を経て初めてレコーディングされたナンバー「TIMEMACHINE」を収録した意欲作だ。




 イベント当日は2部構成となり、まずはマスコミ各社を招いたプレス発表として、2023年9月8日に公開される『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の記者会見が行われた。

 作品テーマである、“過去に終止符を打つ戦いがはじまる”というハードボイルドな世界観のもと、こだま兼嗣総監督、冴羽獠役の神谷 明、新キャストとしてミステリアスな依頼人・アンジー役の沢城みゆき、リョウの育ての親・海原神役の堀内賢雄も登壇し、新たな予告編映像も公開。終盤ではTM NETWORKの3名も登場した。

 『シティーハンター』作品には欠かせないエンディングテーマ「Get Wild」と、書き下ろしとなるオープニングテーマ「Whatever Comes」について、小室哲哉は「1987年にリリースした『Get Wild』から随分年月が経ちましたが、今回オープニングとエンディング曲を両方ともできるって最高です。嬉しさしかない、本当に念願だったんです」と喜びをあらわにした。「ただ、『Get Wild』という最大のライバルがエンディングテーマに控えているので、負けず劣らずのオープニングテーマ(新曲『Whatever Comes』)を作らなければという気持ちでした」と語り、「Get Wild」が代表曲となったことについては「冗談ですけど、僕たち一発屋じゃないよね? と話したりしているんです(笑)。もちろん代表作があるということはいいこと。ここまで長く聴いていただけるとは思っていませんでした」と語ったうえで、さらに新曲「Whatever Comes」にも「自信がある」とアピールした。

 終演後、会場出口では、TM NETWORKの公式ストーリーテラーであり、急遽旅立たれた音楽ライター、藤井徹貫氏へ、メンバーやスタッフ一同が哀悼の意を表したカードが来場者へ配布されたことも記しておこう。

「Get Wild」のライバルとなる「Whatever Comes」の存在


 『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』オープニングテーマとなった「Whatever Comes」。同作のエンディングテーマはもちろん「Get Wild」だ。36年の時を越えて、オープニングやエンディングはもちろん、劇中に4曲が起用されるという、TM色全開の“シティーハンターワールド”が展開されることになった。



 小室曰く、“「Get Wild」のライバルとなる作品”と公言する「Whatever Comes」。歌詞は、作詞家・小室みつ子の手によるもの。小室が脚本を読み込み、“潜在的であり本能的、血の通ったにおいを意識した”というイメージを電話で伝えたという。

 そのこだわりは、サビ前の“エアプレーン”というワードにもあった。作曲家と編曲家目線としては、“エアプレーン”だと、流れていくイメージで止まれない。ゆえに、ピタッと止まって、また蹴り出すイメージを、その後の“Going to kick”を加えてフックを与えたという。

 音楽と映像の融合、可視化する言葉が絡み合う表現の妙。SOUND&VISION=映像がみえる音楽を生み出すTM NETWORKの本質だ。




 「Whatever Comes」のサウンド面では、明るさとアッパーさを打ち出すためにリズミカルな軽快さが、宇都宮による流麗なるボーカリゼーションや木根と小室によるコーラスワーク、シンセによる音使いから感じられた。小室は、自ら生み出したヒット曲の方程式のひとつであるイントロの掴みにこだわった。そこで浮かんだのが『シティーハンター』特有の鉄のにおいだ。ギター鉄弦のサビたイメージと繋がって、今回イントロではポール・リード・スミスを弾いた小室自身のギタープレイを取り入れた。作品中、中毒性あるメロディーがリフレインするのだが、ここでは数人のギタープレイを重ねたという。

 結果、シンセサイザーのようなギターサウンドへと仕上がった。さらに、後半へ向けて高揚するサウンドは、フレーズを絶妙にずらすなど、サンプリングを多用して現代的なグルーヴを生み出している。

 『シティーハンター』との絆が36年続いた結果、「Get Wild」は、もはや単なるエンディング曲というより“次のテーマへと切り替わるシグナルのような存在”へと成長した。逆に、「Whatever Comes」のイメージは“導くもの”となった。この関係性は、次へと続くシグナル、そしてネクストへの導きという、ポジティビティに富んだキーワードへと結実したのである。



“愛”を超える上位概念の言葉の模索


 「Whatever Comes」のシングルCDにはTM NETWORKらしい、切迫した疾走感あふれる「DEVOTION(Radio Edit ver.)」も収録された。イントロダクションのコーラスワーク「No No No, No No No」という高揚するフレーズ。『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』において、主人公の冴羽獠や、香、アンジーの言葉にならない心情を見事に表現した、エモーショナルなリリックとサウンドが圧巻だった。

 日常生活において聴きなれないタイトルである「DEVOTION」とは、ポップミュージックにラブソングが満ち溢れた現代において、小室は、“愛”を超える上位概念の言葉がないかと模索した。結果、“献身”という言葉と出会い「DEVOTION」というタイトルへ至ったという。

映画とリンクした“新宿=都会”のイメージを舞台へ


 こうして、日本の音楽シーンに革命的進化を与えた音楽ユニット、TM NETWORKは2024年4月21日にデビュー40周年を迎えた。

 40周年プロジェクトの口火を切った全国ホールツアー『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~DEVOTION~』。全国11都市16公演を巡った千秋楽。2023年11月30日、東京国際フォーラム ホールAで行われた<Day25>の模様を収めたBlu-rayが、デビュー記念日である4月21日にリリースされたばかりだ。




 “FANKS intelligence”を冠した本ツアー。最新プロダクト『DEVOTION』のリリースとともに開催され、同時公開となった『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の世界観とも完全シンクロした、コンセプチュアルなステージ。その制作の発端は、小室発案によるイラストだった。ステージプロットを軸に構築された、縦長LEDを駆使した立体的な高層ビルの風景。煌びやかな照明やサウンドとともに、自由自在に可変する映像美が解き放つ高揚感。いわゆる、ツアーセットや演出も、映画とリンクした“新宿=都会”のイメージを舞台に取り入れたのだ。

 注目すべきはコンサート冒頭のイントロダクション。小室の想い出に残っていた、かつて新宿駅西口で鳴っていた”時報音楽”の記憶を呼び起こす。

 新宿駅西口で鳴っていた”時報音楽”を作曲した音楽家、黛 敏郎は、偶然にも「ミュージックコンクレートのための作品X・Y・Z」という楽曲を手がけていた。”XYZ”といえば、『シティーハンター』作品において、新宿駅東口の掲示板で冴羽 獠へ仕事を依頼する際の符牒となるメッセージだ。

 さらに、小室は1970年に行われた大阪万博で、冨田 勲によるシンセサイザー演奏やさまざまなテクノロジー、カルチャーとの出会いを経験している。当時、小室は小学5年生だった。その一方で実は黛 敏郎は、万博を代表する太陽の塔にまつわる楽曲「EXPO’70 太陽の塔内・生命の樹テーマ曲“生命の讃歌”」も手がけていた。TM NETWORKは、1991年にオリジナルアルバム『EXPO』を残している。

 重なり合うキーワード。点と点が紡ぐ記憶の欠片。それは、TM NETWORKとシティーハンターのIP=世界観が溶け合った、夢のような記憶のバーチャルな可視化である。

 シティーハンター関連曲といえば、TM NETWORKが世界へ誇る代表曲「Get Wild」はもちろん、アニメファン人気も高い「STILL LOVE HER(失われた風景)」、「Whatever Comes」、「DEVOTION」もプレイ。神秘的な雰囲気を漂わせたTKソロパートや新曲「Angie」の初披露。

 最新アレンジによるリプロダクション的アプローチで生まれ変わった「COME ON EVERYBODY」、「TIME TO COUNT DOWN」、「THE POINT OF LOVERS’ NIGHT」など往年の人気曲たち。さらに、40年の時を経て遂にスタジオ録音が実現した幻の名曲「TIMEMACHINE」を演奏するなど、全17曲を一気に駆け抜けた。




照明や音響、クリエイティビティの真髄を堪能したステージ


 怒涛のツアー展開は続く。40周年プロジェクトを祝福すべく、第2シーズンとなる全国ホールツアー『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~』が開催された。

 2024年3月8日、会場となったTACHIKAWA STAGE GARDENでは開演前からオペラ「トゥーランドット」が厳かに流れていた。3大テノールによる「誰も寝てはならぬ」を紐解くと、数字の“3”が浮かび上がった。3人だけでステージに立つ、本ツアーのタイトル“STAND 3 FINAL”へと通じる遊び心である。

 オープニングは、まるでSF映画の謎解きのような意味深な映像からスタート。古文書のようなエンサイクロペディアが開かれ、原典アップデートが示唆され、TM NETWORKの文字=WORDが紡がれていく。

 このツアーは、アニメ『シティーハンター』エンディングテーマ「Get Wild」や、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』主題歌「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」といった、TM NETWORKお約束のヒット曲を演奏しないコンサートとなった。これらに頼らずとも、TM的世界観を打ち出せることの喜びを感じた瞬間だ。

 さらに驚かされたのが、プログラミングによって立体的に可変するドット・ミラーを駆使したライティングにおける宇宙船や光のタワーの表現など、華麗なる照明展開、クオリティー高い研ぎ澄まされた音像美。まさに、TM NETWORKの3人と匠のスタッフによる表現者が解き放ったクリエイティビティの真髄を堪能したステージとなった。

 そして、TM NETWORKは40周年イヤーの集大成となる、大規模なアリーナツアー『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~YONMARU~』へと突入していく。





TM NETWORKの健在を世界へ表明した「Get Wild Continual」


 2024年4月21日には、TM NETWORKデビュー40周年を祝したプロダクト『40+ 〜Thanks to CITY HUNTER〜』も完全生産限定盤としてリリースされた。CD2枚組となっており、TM NETWORKのブレイクのきっかけとなった『シティーハンター』に関連する楽曲を計7曲収録。全ての音源はロンドンAbbey Road StudiosのAlex Gordonによりリマスタリングされた。




 注目は、2024年4月25日に世界独占配信されたNetflix映画『シティーハンター』のエンディングテーマ曲に起用された「Get Wild Continual」だ。

 オリジナル「Get Wild」の世界観を大切にしたイントロダクション、宇都宮による透明感ある澄んだボーカリゼーション。途中、EDMテイストのシンセフレーズが一気に21世紀の世界観へとタイムワープさせ、ギターとのコントラストが時空を飛び越えていくタイムマシン感覚を表現する。疾走感あふれるサウンドが、TM NETWORKが健在であることを文字通り世界へ表明した。

 Netflix映画『シティーハンター』は、世界で大ヒット中だ。




電気じかけの予言者、3人が辿り着いた金色の夢とは?


 こうして、本記事はTM NETWORK、40年にわたるヒストリーをドキュメンタリーとして紡いできたが、7本目にしてようやく現在へと追いついた。合計、5万字ぐらいだろうか。

 筆者は、TMのデビュー記念日である4月21日に『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~YONMARU~』ツアー、有明東京ガーデンシアター公演を目撃した。

 デジタルを駆使したTM NETWORKらしいライヴは、ヴォーカリスト宇都宮、キーボーディスト小室、ギターやピアノ、キーボードを駆使するマルチな木根、そして今回のツアーでは日本を代表するギタリスト北島健二、同じく日本を代表するドラマー阿部 薫がライヴをサポート。プロフェッショナルなライヴエンタテインメントが、圧巻の光と音の洪水とともに繰り広げられていく。僕らが観たかったTM NETWORKの姿、そのものだった。

 コール&レスポンスを促す宇都宮の笑顔や、小室と木根がデュオで歌唱する未発表曲の存在もあってか、よりヒューマンな雰囲気が伝わってくるあたたかな会場の空気感だ。

 TM NETWORKとしてやりたいことを表現する。そんな攻めのステージは、オーディエンスを歓喜の渦へと巻き込んだ。ツアー千秋楽は、5月18日、19日に行われるKアリーナ横浜2デイズ公演を残すのみとなった。

 1984年から2024年へ。TM NETWORKによる40周年プロジェクト、完遂まであと数日……。

 2024年5月18日、そして19日の<Day40>=40公演目の最後に見える光景とは? 電気じかけの予言者である3人が辿り着いた金色の夢とは? 

 あなたの目と耳と心で体感すべし!!!

Let’s see the GOLDEN DREAM once again with TM NETWORK!!!





Discography


ディスコグラフィー[2021-2024]



BOXセット

TM NETWORK THE VIDEOS 1984-1994

2019年5月22日発売
品番:MHXL-63~72(Blu-ray)

《収録内容》
DISC 1:VISION FESTIVAL(journey to saga)

(1984年12月5日:渋谷PARCO PART III SPACE PARCO)

DISC 2:FANKS “FANTASY” DYNA-MIX
(1986年8月23日:読売ランドEAST / 1986年7月17・18日:中野サンプラザ)

DISC 3:KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX MARCH 15th,1988
(1988年3月15日:国立代々木競技場第一体育館)

DISC 4:CAMP FANKS!! ’89 at YOKOHAMA ARENA 2014 EDITION
(1989年8月30日:横浜アリーナ)

DISC 5:TMN WORLD’S END I・II Rhythm Red Live
WORLD’S END I(1991年2月2日、3日:郡山市民文化センター、2月22日:仙台イズミティー)
WORLD’S END II(1991年3月7日、8日、10日:国立代々木競技場第一体育館)

DISC 6:TMN EXPO ARENA FINAL
(1992年4月12日:横浜アリーナ)

DISC 7:TMN final live LAST GROOVE 5.18
(1994年5月18日:東京ドーム)

DISC 8:TMN final live LAST GROOVE 5.19
(1994年5月19日:東京ドーム)

DISC 9:T-MUE-NEEDS STARCAMP TOKYO 1988.08.25
(1988年8月25日:東京ドーム / 1988年10月10日 NHK総合にて放送)

DISC 10:DRAGON THE FESTIVAL TOUR featuring TM NETWORK 1985.10.31
(1985年10月31日:日本青年館)



ベストアルバム

Gift from Fanks T

2020年3月18日発売
品番:MHCL-2843~2845(CD)

《収録内容》
DISC 1

1. 1974(16光年の訪問者)
2. RAINBOW RAINBOW(陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜)
3. 8月の長い夜
4. TWINKLE NIGHT(あるひとりのロマンティストの生誕)
5. ELECTRIC PROPHET(電気じかけの予言者)
6. YOUR SONG(“D” MIX)
7. Come on Let’s Dance(This is the FANKS DYNA-MIX)
8. NERVOUS
9. GIRL
10. Maria Club(百億の夜とクレオパトラの孤独)
11. Spanish Blue(遙か君を離れて)

DISC 2
1. Get Wild
2. HUMAN SYSTEM
3. TELEPHONE LINE
4. BEYOND THE TIME(EXPANDED VERSION)
5. WINTER COMES AROUND(冬の一日)
6. JUST ONE VICTORY(たったひとつの勝利)
7. STILL LOVE HER(失われた風景)
8. FOOL ON THE PLANET(WHERE ARE YOU NOW)
9. DIVE INTO YOUR BODY
10. THE POINT OF LOVERS’ NIGHT
11. TIME TO COUNT DOWN
12. WE LOVE THE EARTH

DISC 3
1. LOVE TRAIN
2. Crazy For You
3. 大地の物語
4. 一途な恋
5. Nights of The Knife
6. TIMEMACHINE
7. Detour
8. MESSaGE(Original mix)
9. We Are Starting Over(Straight Run)
10. IGNITION, SEQUENCE, START -ALBUM VERSION-
11. 君がいる朝
12. SCREEN OF LIFE -Single Mix-
13. グリニッジの光を離れて ※Bonus Track




ベストアルバム

Gift from Fanks M

2020年3月18日発売
品番:AVCD-96462~4(CD)

《収録内容》
DISC 1

1. 金曜日のライオン(Take it to the Lucky)
2. アクシデント
3. 永遠のパスポート
4. FANTASTIC VISION
5. YOUR SONG(TWINKLE MIX)
6. Confession ~告白~
7. You Can Dance
8. 雨に誓って ~SAINT RAIN~
9. All-Right All-Night(No Tears No Blood)
10. Self Control(方舟に曳かれて)
11. Don’t Let Me Cry(一千一秒物語)
12. Time Passed Me By(夜の芝生)
13. Here, There & Everywhere(冬の神話)
14. Fool On The Planet(青く揺れる惑星に立って)

DISC 2
1. KISS YOU
2. CHILDREN OF THE NEW CENTURY
3. BE TOGETHER
4. RESISTANCE
5. THIS NIGHT
6. BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)
7. SEVEN DAYS WAR
8. GIRL FRIEND
9. COME ON EVERYBODY
10. JUST ONE VICTORY(Remix Version)
11. Get Wild ’89

DISC 3
1. RHYTHM RED BEAT BLACK
2. Jean Was Lonely
3. あの夏を忘れない
4. WILD HEAVEN
5. ANOTHER MEETING
6. I am
7. Green days 2013
8. LOUD
9. Alive
10. Get Wild 2015 -HUGE DATA-
11. Get Wild ’89(7inch Version)※Bonus Track




ビデオ

DECADE 2020 HD REMASTER

2020年8月26日発売
品番:MHXL-80(Blu-ray)

《収録内容》
1. Nights of the Knife〈TV-CF 15”〉
2. 金曜日のライオン〈VIDEO-CLIP〉
3. 1974〈VIDEO-CLIP~PARCO LIVE ’84.12月〉
4. ACCIDENT〈VIDEO-CLIP~日本青年館LIVE ’85.9月~VIDEO-CLIP2~中野サンプラザLIVE ’86.6月〉
5. TWINKLE NIGHT〈VIDEO-SPOT〉
6. Interview〈with 平山雄一 ’87.10月〉
7. All-Right All-Night〈VIDEO-CLIP〉
8. Come on Let’s Dance〈VIDEO-CLIP〉
9. Bang the Gong〈Self Control Opening Film〉
10. Self Control〈Fanks CRY-MAX at 武道館 ’87.6月〉
11. Get Wild〈TV-CF 15”〉
12. Get Wild〈VIDEO-CLIP〉
13. KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX〈Opening Film ’88.8月〉
14. KISS YOU〈KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX ’88.8月〉〈CAROL TOUR FINAL CAMP FANKS!!’89 ’89.8月〉〈RHYTHM RED TMN TOUR ’91.1月〉
15. COME ON EVERYBODY〈from the TV “eZ” ’88.12月〉
16. JUST ONE VICTORY〈VIDEO-CLIP〉
17. DIVE INTO YOUR BODY〈VIDEO-CLIP〉
18. TIME TO COUNT DOWN〈TV-CF 15”〉
19. 69/99〈VIDEO “WORLD’S END II” Opening Film〉
20. TIME TO COUNT DOWN〈from the TV “eZ” ’90.11月〉
21. Crazy For You〈from EXPO 3-D ’91.9月〉
22. Think Of Earth〈from EXPO 3-D ’91.9月〉
23. Love Train〈VIDEO-CLIP〉
24. TMN COLOSSEUM I・II〈TV-CF 30”〉
25. 一途な恋〈TV-CF 15”〉
26. Nights of the Knife〈TV-CF 15”〉
27. 1974〈フレッシュサウンドコンテスト’83〉




ビデオ

All the Clips 1984~1999 Refinement

2020年8月26日発売
品番:MHXL-81(Blu-ray)

《収録内容》
1. 金曜日のライオン
2. 1974
3. アクシデント
4. Dragon The Festival
5. Your Song
6. Come On Let’s Dance
7. All-Right All-Night
8. Self Control
9. Get Wild
10. Kiss You
11. Come On Everybody
12. Just One Victory
13. Dive Into Your Body
14. Time To Count Down
15. Rhythm Red Beat Black
16. Love Train
17. Nights Of The Knife
18. Get Wild Decade Run
19. 10 Years After
20. Happiness×3 Loneliness×3

特典映像:Self Control and the Scenes from “the Shooting”
1. Bang The Gong
2. Self Control
3. Time Passed Me By
4. Spanish Blue
5. Here,There & Everywhere




ライヴアルバム

LIVE HISTORIA T ~TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015~

2022年2月23日発売
品番:MHCL-30708~30709(CD)

《収録内容》
DISC 1
1. Be Together(1988年3月16日 / 代々木オリンピックプール)
2. WILD HEAVEN(2014年12月10日 / 東京国際フォーラム ホールA)
3. I am(2012年4月25日 / 日本武道館)
4. RHYTHM RED BEAT BLACK(2015年3月22日 / 横浜アリーナ)
5. Don’t Let Me Cry(1987年6月24日 / 日本武道館)
6. Beyond The Time(1988年3月16日 / 代々木オリンピックプール)
7. 永遠のパスポート 2014(2014年5月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
8. STILL LOVE HER(失われた風景)(1994年5月19日 / 東京ドーム)
9. Here, There & Everywhere(2013年7月21日 / さいたまスーパーアリーナ)
10. LOUD(2015年2月8日 / さいたまスーパーアリーナ)
11. 69/99(1991年2月22日 / 仙台イズミティ21)
12. JUST LIKE PARADISE(1992年4月12日 / 横浜アリーナ)
13. JEAN WAS LONELY(1992年4月12日 / 横浜アリーナ)

DISC 2
1. Love Train(2013年7月21日 / さいたまスーパーアリーナ)
2. DRAGON THE FESTIVAL(1994年5月18日 / 東京ドーム)
3. Kiss You(2014年5月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
4. TIME TO COUNT DOWN(1991年3月7日 / 国立代々木競技場第一体育館)
5. DIVE INTO YOUR BODY(1989年8月29日 / 横浜アリーナ)
6. Self Control(2012年4月25日 / 日本武道館)
7. Get Wild ’89(1989年8月29日 / 横浜アリーナ)
8. ELECTRIC PROPHET(2012年4月25日 / 日本武道館)
9. NIGHTS OF THE KNIFE(1994年5月19日 / 東京ドーム)
10. 17 to 19(1984年12月5日 / PARCO PART III SPACE PARCO)
11. TIMEMACHINE(1984年12月5日 / PARCO PART III SPACE PARCO)




ライヴアルバム

LIVE HISTORIA M ~TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015~

2022年2月23日発売
品番:AQCD-77532~3(CD)

《収録内容》
DISC 1
1. We love the EARTH(2012年4月25日 / 日本武道館)
2. 金曜日のライオン 2014(2014年5月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
3. LOVE TRAIN(1992年4月12日 / 横浜アリーナ)
4. Be Together(2015年3月22日 / 横浜アリーナ)
5. Just One Victory(1989年8月29日 / 横浜アリーナ)
6. CUBE(2014年5月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
7. Ipanema’87(1987年6月24日 / 日本武道館)
8. Children of the New Century 2015(2015年3月22日 / 横浜アリーナ)
9. DON’T LET ME CRY(1992年4月12日 / 横浜アリーナ)
10. Still Love Her(2015年2月8日 / さいたまスーパーアリーナ)
11. Electric Prophet(1984年12月5日 / PARCO PART III SPACE PARCO)
12. TIMEMACHINE(2012年4月25日 / 日本武道館)

DISC 2
1. RHYTHM RED BEAT BLACK(1991年3月7日 / 国立代々木競技場第一体育館)
2. Come on Let’s Dance(1988年3月16日 / 代々木オリンピックプール)
3. Alive(2014年12月10日 / 東京国際フォーラム ホールA)
4. BEYOND THE TIME(2014年5月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
5. Kiss You(1988年3月16日 / 代々木オリンピックプール)
6. THE POINT OF LOVERS’ NIGHT(1991年2月22日 / 仙台イズミティ21)
7. Green days 2013(2013年7月21日 / さいたまスーパーアリーナ)
8. WILD HEAVEN(1994年5月19日 / 東京ドーム)
9. Get Wild 2014(2015年2月8日 / さいたまスーパーアリーナ)
10. SEVEN DAYS WAR(1994年5月18日 / 東京ドーム)
11. Fool On The Planet(2015年3月22日 / 横浜アリーナ)




ビデオ

How Do You Crash It?

2022年4月21日発売
品番:MTRES-B2203(初回生産限定盤 Blu-ray+CD)/MTRES-B2204(Blu-ray)

《収録内容》
LIVE Blu-ray

1. ELECTRIC PROPHET
2. Fool On The Planet
3. I am ~ How Crash?
4. ACTION
5. Green days
6. 1/2の助走
7. HUMAN SYSTEM
8. WINTER COMES AROUND
9. TIMEMACHINE
10. SEVEN DAYS WAR
11. Here,There & Everywhere
12. We love the EARTH
13. BEYOND THE TIME
14. LOUD
15. Alive
16. N43
17. KINE solo
18. LOVE TRAIN
19. Come On Let’s Dance
20. RESISTANCE
21. BE TOGETHER
22. Get Wild
23. TK solo
24. Self Control
25. How Crash?
26. END.ELECTRIC PROPHET

How Do You Crash It? one LIVE CD(初回生産限定盤)
1. ELECTRIC PROPHET
2. I am ~ How Crash?
3. ACTION
4. 1/2の助走
5. Green days
6. Get Wild
7. We love the EARTH
8. SEVEN DAYS WAR

How Do You Crash It? two LIVE CD(初回生産限定盤)
1. Fool On The Planet
2. HUMAN SYSTEM
3. WINTER COMES AROUND
4. Here,There & Everywhere
5. TK solo
6. Come On Let’s Dance
7. LOUD
8. LOVE TRAIN
9. BEYOND THE TIME

How Do You Crash It? three LIVE CD(初回生産限定盤)
1. TIMEMACHINE
2. Alive
3. N43
4. KINE solo
5. RESISTANCE
6. BE TOGETHER
7. Self Control
8. How Crash?

「How Crash?」CD(初回生産限定盤)
1. How Crash? -Studio Recording Ver.-
2. How Crash? -Studio Recording Ver.-(Insturumental)




ビデオ

LIVE HISTORIA VISUALIZED T

2022年9月21日発売
品番:MHXL-118(Blu-ray)

《収録内容》
OPENING 「Just made it」
1. 金曜日のライオン(1984年12月5日 / 渋谷PARCO PART III SPACE PARCO)
2. FANTASTIC VISION(1985年10月31日 / 日本青年館)
3. YOU CAN DANCE(1986年8月23日 / 読売ランド・オープンシアター EAST)
4. Self Control〈2022 EDIT〉(1987年6月24日 / 日本武道館)
5. Resistance(1988年3月15日 / 国立代々木競技場第一体育館)
6. Get Wild ’89〈クローズドサーキット〉(1989年8月30日 /横浜アリーナ)
7. DIVE INTO YOUR BODY〈クローズドサーキット〉(1989年8月30日 /横浜アリーナ)
8. THE POINT OF LOVERS’ NIGHT〈2022 EDIT〉(1991年3月7日 / 国立代々木競技場第一体育館)
9. JEAN WAS LONELY(1992年4月12日 / 横浜アリーナ)
10. 月はピアノに誘われて(1992年4月12日 / 横浜アリーナ)
11. DRAGON THE FESTIVAL(1994年5月18日 / 東京ドーム)
12. NIGHTS OF THE KNIFE(1994年5月19日 / 東京ドーム)
13. MESSaGE(2001年1月19日、1月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
14. Be Together(2003年2月23日 / 国立代々木競技場第一体育館)
15. GREEN DAYS(2004年6月24日 / 日本武道館)
16. LOVE TRAIN(2012年3月20日 / 幕張メッセ)
17. Come on everybody + Come on Let’s Dance(2012年4月25日 / 日本武道館)
18. GIRL(2012年4月25日 / 日本武道館)
19. Alive(2014年12月10日 / 東京国際フォーラム ホールA)
20. Fool On The Planet(2015年3月22日 / 横浜アリーナ)
21. ELECTRIC PROPHET(2021年10月9日 / オンライン)




ビデオ

LIVE HISTORIA VISUALIZED M

2022年9月21日発売
品番:AQXD-77556(Blu-ray)

《収録内容》
OPENING 「Just made it」
1. Get Wild(2021年10月9日 / オンライン)
2. I am(2015年3月22日 / 横浜アリーナ)
3. We Love The Earth(2015年2月8日 / さいたまスーパーアリーナ)
4. Still Love Her(2015年2月8日 / さいたまスーパーアリーナ)
5. 君がいてよかった(2014年12月10日 / 東京国際フォーラム ホールA)
6. LOUD(2014年5月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
7. 一途な恋(2013年7月21日 / さいたまスーパーアリーナ)
8. DIVE IN TO YOUR BODY(2013年7月21日 / さいたまスーパーアリーナ)
9. BEYOND THE TIME(2013年7月21日 / さいたまスーパーアリーナ)
10. Be Together(2012年4月25日 / 日本武道館)
11. ACTION(2012年4月25日 / 日本武道館)
12. SEVEN DAYS WAR(2012年3月20日 / 幕張メッセ)
13. 10 YEARS AFTER(2004年4月21日 / 横浜アリーナ)
14. CUBE(2001年1月19日、1月20日 / 東京国際フォーラム ホールA)
15. TIME TO COUNT DOWN(1994年5月19日 / 東京ドーム)
16. LOVE TRAIN(1994年5月18日 / 東京ドーム)
17. HUMAN SYSTEM(1992年4月12日 / 横浜アリーナ)
18. GOOD MORNING YESTERDAY〈2022 EDIT〉(1991年3月7日 / 国立代々木競技場第一体育館)
19. JUST ONE VICTORY〈クローズドサーキット〉(1989年8月30日 / 横浜アリーナ)
20. Children Of The New Century(1988年3月15日 / 代々木オリンピックプール)
21. Maria Club(1987年6月24日 / 日本武道館)
22. RAINBOW RAINBOW(1986年8月23日 / 読売ランド・オープンシアター EAST)
23. 1974(1985年10月31日 / 日本青年館)
24. ELECTRIC PROPHET(1984年12月5日 / 渋谷PARCO PART III SPACE PARCO)




ビデオ

TM NETWORK TOUR 2022 “FANKS intelligence Days” at PIA ARENA MM

2022年12月28日発売
品番:MTRES-B2205(初回生産限定盤 Blu-ray+CD)/MTRES-B2206(Blu-ray)

《収録内容》
LIVE Blu-ray

1. Overture
2. Please Heal The World
3. あの夏を忘れない
4. BE TOGETHER
5. inter
6. 8月の長い夜
7. We are starting over
8. KINE Solo(featuring Love Train)
9. Beyond The Time
10. KISS YOU
11. How Crash?
12. TK Solo(End Theme of How do you crash it?)
13. Get Wild
14. We Love The Earth
15. inter
16. Self Control
17. Dystopia
18. Time To Count Down
19. I am
20. Fool On The Planet
21. intelligence Days

LIVE CD - DISC 1(初回生産限定盤)
1. Overture~Please Heal The World
2. あの夏を忘れない
3. BE TOGETHER
4. 8月の長い夜
5. We are starting over
6. KINE Solo(featuring Love Train)
7. Beyond The Time
8. KISS YOU
9. How Crash?

LIVE CD - DISC 2(初回生産限定盤)
1. TK Solo(End Theme of How do you crash it?)
2. Get Wild
3. We Love The Earth
4. Self Control
5. Dystopia
6. Time To Count Down
7. I am
8. Fool On The Planet
9. intelligence Days




アルバム

DEVOTION

2023年6月14日発売
品番:MHCL-30834~30835(初回生産限定盤CD)/MHCL-30836(通常盤CD)

《収録内容》
1. DEVOTION
2. RESISTANCE(TK Remix)
3. WE LOVE THE EARTH(TK Remix)
4. KISS YOU(TK Remix)
5. TIME TO COUNT DOWN(TK Remix)
6. How Crash?
7. 君の空を見ている
8. Please Heal The World(Studio Mix)
9. End Theme Of How Do You Crash It?(Studio Mix)
10. intelligence Days(Studio Mix)
11. TIMEMACHINE




シングル

Whatever Comes

2023年9月6日発売(アナログ盤:2023年12月6日発売)
品番:MHCL-30877~30878(CD+Blu-ray)/MHCL-30879(CD)/MHJL-304(12インチレコード)

《収録内容》※CD+Blu-ray版
CD

1. Whatever Comes
2. DEVOTION(Radio Edit ver.)
3. Whatever Comes(Backing Track)
4. Get Wild

Blu-ray
1. Whatever Comes(Opening Edit)-CITY HUNTER Special Movie-
2. DEVOTION -Lyric motion feat. CITY HUNTER-
3. 『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』本予告(90秒)




BOXセット

TM NETWORK 40th Anniversary BOX

2024年1月17日発売
品番:YRXX-602(CD+Blu-ray)

《収録内容》
CD:NETWORK -Easy Listening-(REMASTER)
CD:SPEEDWAY(REMASTER)
Blu-ray:LIVE IN NAEBA’03 -FORMATION LAP-




ビデオ

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜DEVOTION〜

2024年4月21日発売
品番:MTRES-B2401(初回生産限定盤 Blu-ray+CD)/MTRES-B2402(Blu-ray)

《収録内容》
LIVE Blu-ray

1. Avant
2. Whatever Comes
3. Mission To Go
4. 君の空を見ている
5. Show my music beat
6. Fool on the Planet
7. Still Love Her
8. TIMEMACHINE
9. Inter1 Come On Everybody
10. ACTION
11. Inter2 TIME TO COUNT DOWN
12. DEVOTION
13. TK Solo feat.Angie
14. THE POINT OF LOVERS’ NIGHT
15. Children of the New Century
16. Get Wild
17. intelligence Days

LIVE CD - DISC 1(初回生産限定盤)
1. Avant
2. Whatever Comes
3. Mission To Go
4. 君の空を見ている
5. Show my music beat
6. Fool on the Planet
7. Still Love Her
8. TIMEMACHINE
9. Inter1 Come On Everybody
10. ACTION

LIVE CD - DISC 2(初回生産限定盤)
1. Inter2 TIME TO COUNT DOWN
2. DEVOTION
3. TK Solo feat.Angie
4. THE POINT OF LOVERS’ NIGHT
5. Children of the New Century
6. Get Wild
7. intelligence Days




BOXセット

40+ ~Thanks to CITY HUNTER~

2024年4月21日発売
品番:MHCL-3074(CD)

《収録内容》
DISC 1(ゴールドディスク仕様)

1. Get Wild Continual
2. Get Wild Continual(Backing Track)

DISC 2
1. Whatever Comes
2. 君の空を見ている
3. DEVOTION
4. Angie
5. Get Wild
6. STILL LOVE HER(失われた風景)




シングル

Get Wild Continual

2024年5月22日発売
品番:MHKL-91(7インチレコード)

《収録内容》
1. Get Wild Continual
2. Get Wild Continual(Backing Track)




Chronology


活動年表[2021-2024]






















































































































2019.4.21

トピック

デビュー35周年記念祭。『TMN final live LAST GROOVE 1994』が全国の映画館にて1日限定上映
2019.5.22

BOXセット

TM NETWORK THE VIDEOS 1984-1994
2020.3.18

ベストアルバム

Gift from Fanks T
2020.3.18

ベストアルバム

Gift from Fanks M
2020.8.26

ビデオ

DECADE 2020 HD REMASTER
2020.8.26

ビデオ

All the Clips 1984~1999 Refinement
2020.9.14
~12.2

イベント

tribute live SPIN OFF T-Mue-needs(ライヴイベント/11会場全16公演)
2021.10.1

トピック

TM NETWORK 再起動宣言
2021.10.9

ライヴ・コンサート

How Do You Crash It? One(無観客ライブ配信)
2021.12.11

ライヴ・コンサート

How Do You Crash It? two(無観客ライブ配信)
2022.2.12

ライヴ・コンサート

How Do You Crash It? three(無観客ライブ配信)
2022.2.23

ライヴアルバム

LIVE HISTORIA T ~TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015~
2022.2.23

ライヴアルバム

LIVE HISTORIA M ~TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015~
2022.4.21

ビデオ

How Do You Crash It?
2022.7.29
~9.4

ライヴ・コンサート

TM NETWORK TOUR 2022 “FANKS intelligence Days”(コンサートツアー/5会場全9公演)
2022.9.21

ビデオ

LIVE HISTORIA VISUALIZED T
2022.9.21

ビデオ

LIVE HISTORIA VISUALIZED M
2022.12.28

ビデオ

“FANKS intelligence Days” at PIA ARENA MM
2023.6.14

アルバム

DEVOTION
2023.9.6

シングル

Whatever Comes
2023.9.7
~11.30

ライヴ・コンサート

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~DEVOTION~(コンサートツアー/12会場全16公演)
2024.1.17

BOXセット

TM NETWORK 40th Anniversary BOX
2024.1.18
~3.8

ライヴ・コンサート

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~STAND 3 FINAL~(コンサートツアー/7会場全9公演)
2024.4.20
~5.19

ライヴ・コンサート

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days ~YONMARU~(コンサートツアー/3会場全6公演)
2024.4.21

ビデオ

TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜DEVOTION〜
2024.4.21

BOXセット

40+ ~Thanks to CITY HUNTER~
2024.5.15

トリビュートアルバム

TM NETWORK TRIBUTE ALBUM -40th CELEBRATION-
2024.5.22

シングル

Get Wild Continual


Interview


キーパーソンインタビュー



立岡正樹 (エム・トレス 代表取締役)


TM NETWORKの活動を長きに渡り見つめてきた人物たちに話を聞くキーパーソンインタビュー。今回登場するのは、デビュー以前より小室哲哉・宇都宮隆・木根尚登の3人を支え続け、また現在では宇都宮が在籍するエム・トレスで石坂健一郎とともに代表取締役を務める立岡正樹。“世界中の誰よりもTMのコンサートを観ている”というキーマンが語る、40周年と“これからのTM”に向けたメッセージとは?

インタビュー・文/兼田達矢

『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜』より


「いろんな経験をして、1人去り、2人去り、最後に残った3人。だから、お互いにないものをそれぞれが持っているわけです」


── TMのメンバー3人との出会いは、石坂健一郎さんと同様に、三多摩付近のバンド仲間の先輩/後輩ということになりますか。

立岡 はい、出会いは三鷹の楽器屋さんです。僕らのバンドがキーボード・プレイヤーを探している時に、そこの店長が紹介してくれたのが小室哲哉さんなんです。僕が高2で、哲ちゃん(小室)が高3の時ですね。高校時代の1歳~2歳上って、ものすごく上に感じるでしょ。だから、僕らはローディーとして彼らを手伝っていくことになるわけですけど、それが当たり前のことだとも思ってました。それから、三多摩で「お客を呼べるバンドがいるらしいよ」という噂を聞いて出会ったのがウツ(宇都宮)と木根ちゃんのバンドでした。

後に彼らはSPEEDWAYとしてデビューしましたが、思うようには売れず、世の中甘くないなっていう結果で。彼らのなかではそれはすごいショックだったと思います。哲ちゃんはSPEEDWAYに参加した後、キーボード・プレイヤーとして6アーティストぐらいサポートをやって、その間に業界のいろんなことを見たり、どうしたら売れるかってことを勉強したんだと思う。

バンドって、4人なり5人なりが集まると、みんなの意見を聞かなくちゃいけないですよね。「お前どう思う?」「俺はこうしたほうがいいと思う」「じゃあ、そうしてみよう」って。本当はそうしてほしくなかったとしても、自分の担当外の楽器に関しては「いいんじゃない」となる。哲ちゃんも、そういうときに自分がこうしたいと思っていることをガツンと言うタイプではないので。そういったことを踏まえて、「僕のやりたいことを信じてやってほしい」と言って始めたのがTM NETWORKだと僕は思ってるんです。

── TMがそういうグループだったとして、その3人のバランスや役割分担については、立岡さんはどんなふうに見ていましたか。

立岡 僕のなかでは、“残った3人”っていうイメージだったんですよね。高校時代からの歴史がずっとあって、いろんな経験をして、1人去り、2人去り、最後に残った3人。だから、お互いにないものをそれぞれが持っているわけです。例えば、売れるボーカリストって、物真似したくなるような感じがあると思うんですが。

── ちゃんとカラーがあるということですか。

立岡 そうです。でも、ウツの物真似をする人ってなかなかいないんですよ。それだけウツのボーカルには特別な透明感があるというか……言葉で説明するのは難しいですけど、耳に残らないのかと言ったらそうではない。ただ、癖を見つけようとするのが難しいんじゃないかなって僕は思うんです。哲ちゃんは、そこに周りとは違うものを感じたんだろうし、だからウツを選んだんだと思う。で、作曲ということについては、自分が世界一すごい作曲家だと哲ちゃんは多分思ってるでしょうけど(笑)、同時に木根ちゃんの書く曲は自分には書けないと思ってるのではないかなぁ〜?

哲ちゃんのデモは、その当時からリズムボックスなんかを使ってオケ(歌の入っていない音源)を先に作って、そこにメロディを載せるという、構築して作るタイプでした。でも木根ちゃんは、メロディを作る作曲家なんですよ。デビュー当時はアルバムのA面に1曲、B面に1曲というバランスで木根ちゃんの曲が入ってましたよね。TMにはそういうバランスが良いと、哲ちゃんは考えていたんだと思うんです。

関係性という意味では、ウツと木根ちゃんは小学校4年生の時に出会って、中学からずっと一緒にやっているわけですよね。だから中学から高校生の時期に衝撃を受けた音楽や出来事をお互いが共有しているし、哲ちゃんに言わせれば「僕にはないものを2人が持ってる」という、そのことが売れるポイントというか、TM NETWORKには絶対必要なんだという確信があったんじゃないかなって僕は信じています。


『TM NETWORK 40th FANKS intelligence Days 〜STAND 3 FINAL〜』より


「当時はTMN終了コンサートさえ成功させればいいと思っていただけなので、まさかこんなことになるなんて思いもしなかった」


── 立岡さん自身は、10代で彼らと出会って、“これから3人と一緒にやっていこう!”と思い定めたタイミングがどこかでありましたか。

立岡 いや、これは自分の意思ではあるんだけど、本当に流れるままに今に至ってるんですよ。変な例えですけど……親友のことを、自分ではけちょんけちょんに「あいつ最悪だよ」とか言うのに、関係ない人間にそいつのことをけなされると頭にくる、というような人間の心理ってあるじゃないですか。TMの3人に対して、それに近い感覚はあります。僕らがアマチュアの頃、ライヴのチケットをみんなで必死に手売りしている時代があって、彼らも同じようなことをやってたのを僕は見てますしね。

音楽性についても、全部に共感しているというほどではなかったかもしれませんが、例えば「1974(16光年の訪問者)」という歌詞のワンフレーズだけでも、自分と共通な、あの頃の記憶とか思い出とか憧れとか、そういうものを感じるんですよ。哲ちゃんはどう思って作ったのかわからないけど、僕はそう受け取って。だからTMをプロモーションする相手に、「こういう電子音楽に、“Sixteen あの頃の気持”とか、人間の心を伝えようとする歌詞が共存しているのがこれからの新しい音楽だと思いますよ」と言えたりしたんですよね。




── その後、立岡さんは当時のTMの事務所をいったん辞めて、Virgin Musicに行かれたわけですが、もう一度TMと仕事をすることになるのはいつのことですか。

立岡 1993年の12月31日に、哲ちゃんから電話がかかってきて。「ちょっと相談があるから、今すぐ来てくれる?」と言うので、trfのレコーディングをやっているところに行ったら、「実は、TMN終了の手伝いをしてほしい」という話をされたんです。そこからいろんな経緯があって東京ドームのコンサート(『TMN 4001 DAYS GROOVE』)が決まるわけですが、1994年はウツが4月20日までツアー中だから、その間は発表をしないという約束で、4月21日に発表しました。でも、開催日は5月18日と19日なので、1ヶ月も時間がないわけです。その間にプロモーションをしてチケットをソールドアウトさせないといけないということを考えると、これは自分1人じゃ無理だ、と思って。そこで、以前の10年間は別々に仕事をしていた石坂健一郎に電話したんです。「哲ちゃんからこういうことを相談されてるんだけど、手伝ってくれない?」って。

やがて、約半年かけて頑張ったTMNの「終了」コンサートは無事に終わり、メンバー3人と僕と石坂とで乾杯して、「よかったね、この後はみんなどうするの?」という話になったんです。すると、その後のウツの事務所に関して、哲ちゃんが「立岡と石坂で、会社を作ればいいんだよ」と言うんです。当時の僕らからしてみれば、会社なんて作ったことないんだけど……という感じでしたが、あれよあれよと話が進んで、気がついたら本当に会社を立ち上げることになっていました。当時はそのコンサートさえ成功させればいいと思っていただけなので、まさかこんなことになるなんて思いもしなかったです。





「結果として、こうして続けてこれたっていうことには感謝しかないです」


── それが、立岡さんと石坂さんが代表取締役を務められているエム・トレスという会社ですね。

立岡 そうです。だから、本当にメンバー3人と僕と石坂の5人で作った会社なんですよ。哲ちゃんからは「大丈夫だよ。僕が今プロデュースしてるアーティストのコンサート制作に関しては任せるから」と言われて。確かに、1990年代半ばの時期は哲ちゃんプロデュースのコンサート制作をどれだけやらせてもらったことか。trfの初の東京ドーム公演、安室奈美恵ちゃんの最初のドームツアー、hitomiもglobeもそう。さらに、その間にウツのソロがあり、木根ちゃんのソロもやらせてもらっていたので。常にツアーを回ってる感じでしたね。

先ほども言ったように、そうやって流れるままに流されながら現在に至っているというのがホントのところで、それをだらしないと言われると、その通りだと思うんですけど……だからといって別の人生が想像できるかと言えば想像できない。結果として、こうして続けてこれたことはTMの3人に感謝しかないです。

── TM NETWORKが40周年を迎え、現在もツアーをしっかり回れているのはどうしてだと思いますか。

立岡 僕は、世界中の誰よりもTM NETWORK、宇都宮隆、木根尚登のコンサートを観ている自負があるんですが、そのコンサートを観た時にいつも“来年はこうしたい”っていう気持ちを起こさせてくれたのが彼らだったから、というのはあると思います。コンサートでやりたいことを実現するには予算との戦いがあって、若いアーティストほど言うことを聞いてくれないものですが、大人になってくるとだんだん分かるようになる。でも、それを踏まえたうえでもアーティストには「こういうことをやりたいんだ」という意見は言ってほしいんですよね。その意見を聞いたとき、仮に実現が難しいアイディアだったとしても、ただ「ダメです」と言うのではなくて、「こうやれば、その気持ちを表現できるんじゃない?」って引き出しは常に作っておかないといけない。そういった意味合いと、離れた場所からステージをただ見ているだけっていうのが嫌というのもあって、僕は今でも“箱譜(はこふ)”を作るんです。

── “箱譜”とはどんなものですか?

立岡 コンサートを作っているスタッフの全てが、音楽の楽典的な知識があるわけではなく、譜面が読めなかったりコードを知らないといった人もいるので。でも、そういうスタッフが全員同じ1つのものを見てやりとりできるようにできないかな、と思って長年かけて僕が作り上げたのが“箱譜”です。

他の制作チームでもこういったものは存在するかもしれませんが、僕が作っているのは、A4サイズの紙に、1ページごとに8小節×14段の情報が記入できる罫線を引いて、そこに歌詞やコードも書き込んだもので。何小節目、という数え方がわからないスタッフが見ても、「きっかけは2段目の5番目のハコのアタマね」というふうに言えば伝わるようになってるんです。マニピュレーターから「データ上の番号が入ってるほうがわかりやすい」という意見があったら、それも書き込んだりとか。コードは、リハーサルの音を聴きながら自分で拾って、分からないときは哲ちゃんに確認しています。「今どき紙に書いてるの?」と言う人もいるけど、昔のことを思い出さなきゃいけないときでも、この“箱譜”を見ればいつでも正確に思い出せるんですよ。

▲TMのコンサートが行われるたびに作成されている“箱譜”。セットリスト全曲分の歌詞、コード、演奏時間などのデータが独自の譜面にまとめてあり、各スタッフが必要な記載事項をメモできるようになっている。


「3人自身にとって“楽しいね”っていう音楽を人の前でやれるようになれたらいいな、それを見たいなと思うんです」


── TM NETWORKとの長い関わりのなかで、一番嬉しかったことは?

立岡 これはメンバーにもよく言っていますけど、『KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX』という1988年のアリーナツアーですね。東京会場は代々木競技場の第一体育館。オープニングが、「Be Together」の振り落とし(ステージを覆う幕が一瞬で落ちて全容が現れる演出)だったんですよ。ドラムのビートに合わせて幕の後ろからライトが当たって、時々メンバーのシルエットが見えていて、幕がバッと落ちる瞬間に“Welcome to the FANKS!”ってウツが言うんです。その時のお客さんの歓声の凄さ。それを正面のPA卓から観ていた自分も、ついさっきまで楽屋で一緒にいた彼らと、そこに立っている彼らとの違い……特にウツのカッコよさはもう、ゾクッとするぐらいで、全身に鳥肌が立ったんですよ。カッコいい!って、ホントに心から思いました。今から考えると、技術的にも、それまでやってきた経験から考えても、特別なことはやっていないんですけど。でもやっぱり記憶に残ってます。そういうライヴを見せてもらえたのは嬉しかったですね。




── 最後に、これからのTM NETWORKに期待すること、希望することは?

立岡 やっぱり、やり続けてほしい、ということに尽きます。ただ、これまでTMは楽しませよう、売れようっていう音楽でずっと頑張ってきたと思うんですが……60歳を越えた今後、あくまで個人的な希望としては、3人が顔を見合わせて、彼ら自身にとって「楽しいね」っていう音楽を人の前でやれるようになれたらいいな、それを見たいなと思うんです。僕の立場にいるとどうしても、「どうやったらお客さんが入るかな?」「どうやったら売れるかな?」ということを考えざるを得ないので、夢のまた夢かもしれませんけど。「僕たちはやっていてホントに楽しいんだけど、よかったら観に来てくれる?」っていう音楽の世界を作り上げられたらいいな、という気持ちはありますね。



立岡正樹(たつおか・まさき)
1959年生まれ。かつてのTM NETWORKのプロダクションであったタイムマシンにて、マネージメント・プロモーションを担当。その後はVirgin Music Japanを経て、現在は宇都宮隆が所属するエム・トレスにて石坂健一郎とともに代表取締役を務め、TM NETWORKのキーマンとして活躍している。