2024年4月号|特集 大滝詠一 EACH TIME

【Part2】井上鑑スペシャル・ロングインタビュー

会員限定

インタビュー

2024.4.16

インタビュー・文/荒野政寿 写真/山本マオ


【Part1】からの続き)

大滝さんは筒美京平さんの曲の作り方とか、他人の仕事を凄く分析していた


── そもそも『EACH TIME』セッションの始まり方はどんな感じだったんでしょう。大滝さんから「次のアルバムをやるよ」という話はどこかの時点であったわけですよね?

井上鑑 いや、そんな説明は何もしてなかったです。演奏する側はどの段階をやっているのか誰も把握していない(笑)。もちろんアルバムになるだろうっていうのはみんな予測しているんですけれども。じゃあこれが必ず収録されるかとか、どれくらいアルバムのキーになる曲なのかっていうのは、あんまりわかってなかった。何より詩がないですから、見えているようで見えてないんですよね。その前に僕が触れてきた大滝さんの楽曲はコロムビア時代の途中からなので、その頃から段々と変わってきて、熟成されてきたなっていうのは感じながら参加していました。

── 『A LONG VACATION』が大ヒットしたことの影響や変化を大滝さんから感じたことはありましたか?

井上鑑 あのアルバムが売れたことは、コロムビア時代を知っている者としては単純にうれしいし、売れてよかった……、それに尽きましたね。コロムビア時代の大滝さんに自信がなかったかと言うと、そんなことはまったくないんだけれども(笑)。『A LONG VACATION』以降は全てに関してコンフィデントになって、楽そうにやっているなと感じて。それは横で見ていても凄くうれしかったです。


大滝詠一
『A LONG VACATION』

1981年3月21日発売






井上鑑 (いのうえ・あきら)

●東京生まれ。桐朋学園大作曲科在学中(三善晃氏に師事)より作編曲家として音楽活動を開始。『PROPHETIC DREAM 予言者の夢』でデビュー。寺尾聰「ルビーの指環」で日本レコード大賞編曲賞受賞。ほとんどの大滝詠一作品に参加。福山雅治、佐野元春、吉田兄弟他多数のヒット作、話題作に参加。先鋭な感覚と確かな書法で多彩な表現を展開している。2023年春15枚目のソロアルバム『RHAPSODIZE』発表。アルバム、ライブ音源共に、立体音響での配信もスタートしている。

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https://vimeo.com/user31500643




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