連載|伊波真人のシティポップ短歌

今月のお題「大滝詠一 / EACH TIME」

2024.4.15

今月のお題

大滝詠一/ EACH TIME1984年


大滝詠一にとって最後のオリジナル・アルバムであり、『A LONG VACATION』に次ぐ大ヒットを記録した歴史的傑作。リゾート路線の「夏のペーパーバック」や「ペパーミント・ブルー」の他、メランコリックな「銀色のジェット」やノベルティソング「恋のナックルボール」など様々なタイプの楽曲が並ぶ。松本隆とのタッグは継続しているが、音楽的にはさらに深みを増したと同時に、愁いのある楽曲が多いことも特徴。また、節目でリイシューされる度に曲目や曲順が変わるという珍しいスタイルの作品で、2024年の40th Anniversary Editionでも未発表のインスト曲「SHUFFLE OFF」が追加されて話題になった。

時間ごとボトルのなかに封じ込め 混じり気のない君に会いたい時間ごとボトルのなかに封じ込め 混じり気のない君に会いたい



伊波真人(いなみ・まさと)

歌人。1984年、群馬県高崎市生まれ。早稲田大学在学中に短歌の創作をはじめる。2013年、「冬の星図」により角川短歌賞受賞。雑誌、新聞を中心に短歌、エッセイ、コラムなどを寄稿。ポップスの作詞家としても活動中。ラジオ、トークイベントへの出演なども行う。音楽への親しみが深く、特にシティポップ、AORの愛好家として知られる。著書に、歌集『ナイトフライト』などがある。