2024年4月号|特集 大滝詠一 EACH TIME

⑥「恋のナックルボール」|Disc1-6|『EACH TIME 40th Anniversary Edition』全曲解説

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レビュー

2024.4.8

文/柴崎祐二


「恋のナックルボール」


コンテンポラリーな試みが見られる演奏が米英折衷的な音楽的背景を描き出す



 『EACH TIME』が、大滝のルーツのひとつであるブリティッシュ・ビートの要素を取り入れていることはファンにはよく知られているだろう。この曲は元々、マンフレッド・マン版の「マイティ・クイン」を下敷きに作られたものだったという。しかし、その“1st Recording Version”は結局お蔵入りし(後に『EACH TIME 20th Anniversary Edition』へボーナス収録された)、リズム・パターンを変えてテンポ・アップしたバージョンが’83年9月11日に新たに録音された。こちらの録り直し版はエヴァリー・ブラザーズの「すてきなデイト」を下敷きにしているという説があるが、なるほど冒頭の“バンドゥビバンバンバン”というフレーズからして納得させられるところだ。その他にも、フランキー・ヴァリからバディ・ホリーまで、様々なアメリカン・ポップスの要素が散りばめられおり、いうなれば米英折衷的な世界といえそうだ(そういった意味で、エヴァリー・ブラザーズらのアメリカン・ポップスに多大な影響を受けた英パブ・ロック・バンド、ロックパイルのサウンドを彷彿とさせもする)。




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