2024年4月号|特集 大滝詠一 EACH TIME
④「マルチスコープ」|Disc1-4|『EACH TIME 40th Anniversary Edition』全曲解説
レビュー
2024.4.4
文/柴崎祐二
「マルチスコープ」
最新のテクノロジーや表現技法へも積極的に挑戦していた隠れた重要曲
NHK総合で’84年4月から放映された子供番組のテーマ・ソング。元々、’83年2月に行われた『EACH TIME』のためのセッションで録音されたものだったが、構成がバラバラで一度は完成が見送られた。翌年になりNHKから依頼があり、お蔵入りしていたオケが生かされ再構築された。作詞は、一連の“Cider”シリーズでも仕事をともにした伊藤アキラが手がけている。
過去のナイアガラ曲からのフレーズがSEとして散りばめられ、大滝自身の言葉を借りるなら“ナイアガラ・マニアの試験場”というべき曲になっている。こうした実験は、『LET’S ONDO AGAIN』以来の試みの進化系であると同時に、「イエローサブマリン音頭」での共同作業などを通じて大滝が度々敬愛を捧げてきたクレイジーキャッツ作品の作編曲・萩原哲晶へのオマージュだといえるだろう。
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