2024年3月号|特集 作詞家の世界

⑦阿木燿子|山口百恵『百恵白書』|作詞家名鑑・歌詞を味わう名盤

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レビュー

2024.3.11


山口百恵
『百恵白書』

1977年5月21日発売

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1. I CAME FROM 横須賀
2. 鏡の中のある日
3. いた・せくすありす
4. 赤のシリーズ・四人の少女に捧げる 約束
5. 間奏曲
6. 二十歳前夜
7. お菓子職人
8. ボーイッシュ・ベイビー
9. ミス・ディオール
10. 歌い継がれてゆく歌のように
11. 「スター誕生」AGAIN



大人の男女の恋愛を情熱的、挑発的な言葉にしてパレットに落とした第一人者

 大人の男女の恋愛を優雅に華麗に都会的に描くのがうまいのが安井かずみなら、阿木燿子はより情熱的、挑発的に言葉をパレットに落とした。恋愛という概念を肉体的な絡みやセックスを通じてリアルに伝えることにおいて、70年代から80年代の阿木の表現の右に出るものはいないと言っていいだろう。ひとつには、本来表舞台になかなか出ることが少ない作詞家という立場にして、同時にモデルや役者をやっていた時期もあるように、彼女自身がセクシーで雰囲気のある女性であるということ、そして、バンド(ダウン・タウン・ブギウギ・バンド)マンであり大学時代の同窓でもあった最愛のパートナー(夫)宇崎竜童との関係が、リスナーに愛し愛される姿を連想させることができたというのも大きい。宇崎と阿木はふたりでメディアに出ることも多く、ともにスタイリッシュな佇まいはそのまま阿木の歌詞の世界を伝えるもとでもあった。その点でも安井かずみと加藤和彦の関係に近いものがある。

文/岡村詩野




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