2024年1月号|特集 ガールポップ’90s

ガールポップ’90s名鑑・名盤レビュー|⑱松田樹利亜『JULIA I』

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レビュー

2024.1.18


松田樹利亜
『JULIA I』

1994年10月1日発売

ワーナーミュージック・ジャパン ▶

1.優柔不断
2.だまってないで
3.ガラスのように飾らないで
4.視線の挑発
5.つかみ切れない愛だってあってもいいじゃない
6.シングル・ガール
7.Dream of you
8.FOREVER DREAM
9.マイ・フレンド
10.抱きしめても止まらない(Long Version)


「だまってないで奪って!」と’90sリスナーの心を鷲掴み

 国民的美少女コンテストの歌唱部門で注目され、’90年に3人組アイドルグループBABY’Sでデビューするも、’93年に松田樹利亜として再デビュー。本作品は’94年2月に発売されたデビュー・アルバムになる。

 ’93年当時宝飾品メーカーのCMに起用され、キャッチーなサビとエッジの効いたギター・サウンドで次々とヒットを飛ばした楽曲たち。その代表的な1曲として、’93年にリリースされた2ndシングル「だまってないで」がある。圧倒的なヴォーカルがサウンドと相まった典型的な産業ロックに華を添えたのが松田樹利亜だと思う。アーティストがプロデュースにマッチングすると、次から次へと作られたもの以上に生まれるものがあることが解る例である。

 鼻に掛かったように感じる声なのに透明感があり、容姿からは想像出来ないパワフルさを持ち合わせる反面柔軟なヴォーカルで聴かせてくれる。唄が好きな思いをきちんと表現できる上手い歌手なんだなぁと改めて再認識。

文/小澤芳一