2024年1月号|特集 ガールポップ’90s

ガールポップ’90s名鑑・名盤レビュー|⑯久宝留理子『Vocallies』

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レビュー

2024.1.17


久宝留理子
『Vocallies』

1993年10月21日発売

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1. 「男」
2. My Dear
3. 涙の数だけ
4. Non Stop Seven Days
5. 帰らない夏
6. Goodbye Piano
7. 笑って泣いて愛して
8. 50/50
9. 泣かずにいられない
10. 夜明け

非凡なVocalliesを味わえるブレイク直後の代名詞

 80年代以降、ヒット曲を量産していた「カメリアダイアモンド」のCMに起用された「『男』」でブレイクした久宝留理子の5thアルバム。シングルの勢いに乗って本アルバムもトップ10入りするヒットを記録した。

 神戸出身の久宝はCBS・ソニーのオーディションで見いだされ、’90年にEPIC・ソニーよりデビュー。当初より作詞・作曲も手がけるなど、シンガーソングライターとボーカリストの中間的な立ち位置で活動するがセールス的には苦戦していた。出世作となった「『男』」は後年SPEEDを手がける伊秩弘将が作曲した疾走感のあるポップロック。女性の本音をぶつけた久宝の詞も話題を呼んで、’93年の紅白歌合戦では白組に先制パンチをお見舞いするトップバッターとして歌唱された。翌’94年には男性を挑発する「早くしてよ」もヒット。張りのあるボーカルと同性の共感を集める世界観でガールポップの代表的存在となる。

文/濱口英樹