2024年1月号|特集 ガールポップ’90s

ガールポップ’90s名鑑・名盤レビュー|⑮井上昌己『愛の神様 恋の天使』

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レビュー

2024.1.17


井上昌己
『愛の神様 恋の天使』

1993年9月29日発売

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1. 大好きじゃなくなる前に
2. 愛の神様 恋の天使
3. 逃がした魚は泳いでる
4. 僕と別れてくれ
5. 恋はLiberty(Short Version)
6. 会いたくない
7. 恋が始まる理由
8. あなたが教えたこと
9. 恋が壊れる理由
10. あ・の・ね
11. デリカシーのかけらもない
12. どうしてあなたは泣いたんだろう
13. 愛してる
14. 組曲〜とても近くにあったLOVE〜


恋愛における様々な状況を自作曲で綴るコンセプト意欲作

 キュートな容姿と清潔感のあるボーカルでガールポップ・ムーブメントの一翼を担った女性シンガーだが、ソングライティングでも他のライバルたちを圧倒するほどの魅力を放っていた。そうした面がダイレクトに伝わってくるのが、7枚目となるこのアルバムだ。

 すべてのトラックを本人が作曲。以前も6曲入りの『Balancin’ Love』(’91年)でサウンドメーカーとしての才能とセンスをアピールしたものの、十分に満足できなかったのか、ここでは14曲の作曲にチャレンジ。音の引き出しの多さに驚くものの、好きなジャンルにあれこれ手を出したという感じはない。とにかく全体の流れを意識して最適なものを丁寧にチョイスしていったようである。

文/まつもとたくお