2024年1月号|特集 ガールポップ’90s

ガールポップ’90s名鑑・名盤レビュー|⑫鈴木彩子『けがれなき大人への道』

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レビュー

2024.1.15


鈴木彩子
『けがれなき大人への道』

1993年7月7日発売

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01.葛藤
02.私の色
03.勇気のつぼみ
04.月光
05.恋 愛
06.それぞれの探しもの
07.君がくれた風
08.誓い
09.VOICE ~明日への滑走路
10.旅立つ朝に
11.この闇を越えて
12.あの時いっしょにいた瞳たち
13.春夏秋冬


ガールポップ然としたルックスを持ちながらハスキーボイスで哀しみを歌う

 80年代に活躍した、中村あゆみ、渡辺美里、小比類巻かほるは、“ガールポップ”というジャンルがない時代にデビューをしたアーティストだが、愛らしいビジュアルを持ちながらも、本格的なロックサウンドで音楽シーンを席巻した存在だった。ハードロック系サウンドで一世風靡をした浜田麻里もそのうちの一人だろう。90年代に入り、活躍したガールポップ系のアーティストのほとんどは軽快なサウンドによるポップスを発表していたが、そんな中、鈴木彩子は、中村あゆみに似たハスキーボイスでロックサウンドを歌うアーティストだった。

 鈴木彩子は’90年にシングル「独立戦争」でデビュー。高見沢俊彦が作詞・作曲を手がけ、ドラマのタイアップソングに起用されたこの曲は、TOP40入りをするスマッシュヒットになっている。アルバムのサウンド面は新田一郎が手がけているが、意外なことに、今井美樹のコンポーザーとして知られる上田知華が多くの楽曲を提供している点にも注目していただきたい(上田知華は鈴木彩子に17曲の楽曲提供を行っている)。

文/長井英治