2024年1月号|特集 ガールポップ’90s

【Part2】|ガールポップ’90s対談:長井英治×栗本斉

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対談

2024.1.11

文/真鍋新一


【Part1】からの続き)

90年代のガールポップはみんな、第二、第三の今井美樹を目指していた


栗本斉 せっかくなので今回、長井さんと僕でそれぞれ、ガールポップのアルバムを10枚ずつ選んでみました。個人的な思い入れ優先ということで、選び方からそれぞれの考え方もきっと見えてくるんじゃないかなと。ちなみに時代順で並べているだけで、特に順位は設けていません。 

長井英治 年代的にも音楽性の幅的にも、なんとなくバランスが取れていますね。

――まずは長井さんの10枚から行きましょう。


谷村有美
『PRISM』

1990年5月12日発売




今井美樹
『retour』

1990年8月29日発売



栗本斉 谷村有美と今井美樹。これはガールポップの原点的な2枚だと言えそうですね。

長井英治 そうですね。谷村有美は「6月の雨」で知ったんです。最近ではシティポップとしての評価も高まっていて、最高傑作のひとつじゃないですかね。彼女は詞と曲が両方作れることも含めて、ガールポップのすべての要素を持ち合わせているアーティストだと思っています。デビューは’87年で、ガールポップ=谷村有美というくらいのイメージを決定づけたという意味で、僕のなかでは90年代の始まりを象徴する1枚なんです。

栗本斉 なるほど。今井美樹はどうですか?




長井英治(ながい・ひではる)
●1967年東京生まれ。1990年から2006年まで、都内大手CDショップにて勤務。その後は、音楽ライターとしてCDの監修等を手掛ける。2013年、書籍『日本の女性シンガー・ソングライター』刊行(シンコーミュージック)。現在、『ラジオ歌謡選抜』、『ファムラジオ』(FMおだわら)、『ミュージックチャージ』(InterFM)と、ラジオのレギュラー3本に出演中。その他、QVCに出演しソニーミュージックの通販BOXの販売も行っている。最新の仕事のひとつに、通販向けCD-BOX『春の歌~J-Spring~』の全曲解説などがある。

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栗本斉(くりもと・ひとし)
●音楽と旅のライター、選曲家。ウェブマガジン「otonano」エディター。1970年生まれ。レコード会社勤務時代より音楽ライターとして執筆活動を開始。退社後は2年間中南米を放浪し、帰国後はフリーランスで雑誌やウェブでの執筆、ラジオや機内放送の構成選曲などを行う。開業直後のビルボードライブで約5年間ブッキングマネージャーを務めた後、再びフリーランスで活動。2022年2月に上梓した『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』(星海社新書)が話題を呼び、各種メディアにも出演している。最新刊は2023年9月に発表した『「90年代J-POPの基本」がこの100枚でわかる!』(星海社新書)。

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