2023年12月号|特集 西城秀樹

①『ワイルドな17才』|復刻シリーズ[スタジオ]アルバム徹底Review

レビュー

2023.12.1


西城秀樹
『ワイルドな17才』

1972年11月5日発売

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1. 恋する季節
2. 君と僕と恋と
3. 若いふたりの海
4. チャンスは一度
5. 愛がほしいのに
6. ラブ・ミーいつまでも
7. 恋の約束
8. メドレー(時には母のない子のように~いつも神の御心を)
9. 母と子の絆
10. 好きになった女の子
11. 君を忘れない


エモーショナルな秀樹節の萌芽を感じるデビュー作

 デビューに当たってのキャッチコピーだった“ワイルドな17才”を掲げた1stアルバム。初期の郷ひろみと野口五郎にとって、大ヒットメーカー・筒美京平といえばほぼ座付作家のような存在であったが、それに対し、もうひとりの新御三家である西城秀樹には、筒美の楽曲を歌うシンガーというイメージが薄いだろう。しかし、意外なことに、彼のデビュー曲「恋する季節」は、筒美作品なのである。その裏には、尾崎紀世彦あるいはアイ高野の歌唱を予定して作られた楽曲が、紆余曲折を経て秀樹に回ってきたという説が存在するらしい。この曲調には、まだグループ・サウンズの時代の尻尾を引きずっている感もある(トランペットは、ザ・カーナビーツの「好きさ 好きさ 好きさ」のパンチラインに酷似したフレーズを吹くのだが、ここに、同バンドのヴォーカルだったアイ高野の持ち歌になるはずだった痕跡があるかもしれない)。

 鈴木邦彦が作曲を手がけた2・3枚目のシングル「恋の約束」「チャンスは一度」からは、すでにエモーショナルな秀樹節の萌芽を感じる。初のワンマン・ショーのライヴ音源も収録されており、ここでは、秀樹本人が訳詞を手がけたポール・サイモンのカバー「母と子の絆」も披露している。

文/下井草秀




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