2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード

⑮なぎらけんいち『葛飾にバッタを見た』|URCレコード名盤ディスクレビュー

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レビュー

2023.11.22


なぎらけんいち
『葛飾にバッタを見た』

1973年8月1日発売

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1. 銀次ラグ
2. 柴又慕情
3. まけ犬
4. 1973年の想い出
5. K.K.ブルース
6. 約束
7. 悲惨な戦い(Live)
8. 葛飾にバッタを見た
9. 昭和の銀次
10. あの娘の街まで
11. あんたの故郷へ
12. 汽車が見えたら
13. 僕は今110フィートの空にいる


フォーク・マニアなぎら健壱のすべてが注ぎ込まれた情緒あふれる2作目

 なぎら健壱というと、どうもギャグ方面に走ってしまいがちだ。ヴァラエティー番組での酒呑み話、映画『嗚呼!!花の応援団』での薬痴寺先輩役、はたまた放送禁止にもなった名曲「悲惨な戦い」のせいなのだろうか。そんなパブリック・イメージはさておき、正統派フォーク・シンガーであり、高田渡と肩を並べる日本のフォークの重鎮のひとりであるのだ。いわば、日本のランブリン・ジャック・エリオットといえるような存在。

 銀座生まれ、葛飾育ち。高石友也や五つの赤い風船の影響を受けフォークを歌いだし、’70年の全日本フォーク・ジャンボリー(中津川フォーク・ジャンボリー)のサブ・ステージに出演。翌年のフォーク・ジャンボリーにも出演し、ここでウケたのが、加川良の「教訓I」を替え歌にした「教訓II」。こういったパスティーシュには、吉田拓郎の「旅の宿」をモチーフにした「旅のドヤ」という迷曲もある。そうなると、やはりお笑い系のヒトなのであろうか。

 ビクター音楽産業のSFレーベルより、’72年に『万年床 なぎらけんいち参上』でアルバム・デビュー。がしかし、フォーク・マニアのなぎら健壱は、“いつかはURCレコードで”、そんな気持ちがあったのだろう。翌年の’73年にURCレコードから発売されたのが『葛飾にバッタを見た』だった。このアルバムに、なぎら健壱のフォークのすべてが注ぎ込まれていると言っていいだろう。

文/小川真一




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