2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード

⑮南佳孝『摩天楼のヒロイン』|はっぴいえんど関連作品ディスクレビュー

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レビュー

2023.11.22


南佳孝
『摩天楼のヒロイン』

1973年9月21日発売

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1. おいらぎゃんぐだぞ
2. 弾丸列車
3. 吸血鬼のらぶしいん
4. ここでひとやすみ
5. 眠れぬ夜の小夜曲
6. 勝手にしやがれ
7. 摩天楼のヒロイン
8. 夜霧のハイウェイ
9. 春を売った女
10. ピストル
11. 午前七時の悲劇


瀟洒で時代を振り返るようなノスタルジックなサウンド・デザイン

 南佳孝の登場は、実にスマートだった。ジャケットからしても洒落ている。真っ白なスーツに胸元には赤い薔薇、パナマ帽に手をやり軽く会釈をしている。憎らしいほどに洗練されたアルバム・ジャケットだ。’73年といえば、まだ長髪、髭がロックの代名詞であった時代。その場に、南佳孝はさっそうと出てきたのだ。

 トリオ・レコードが設立したショーボート・レーベルの第1弾として、南佳孝の『摩天楼のヒロイン』は発売された。同時にリリースされたのは、吉田美奈子『扉の冬』であった。当時は男性でピアノの弾き語りというのは珍しかった。それだけでなく、どこか懐かしい古き良き時代のアメリカを感じさせてくれる。

 時代を振り返るようなノスタルジックなサウンド・デザインは、70年代初頭のロックのひとつの流行でもあった。オールドタイム・レディーとしてデビューしたマリア・マルダー、酔いどれ詩人のトム・ウェイツ、ランディ・ニューマンや初期のライ・クーダー、そしれヴァン・ダイク・パークスの名前を挙げれば、なんとなく雰囲気が伝わるだろうか。

文/小川真一




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