2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード

【Part3】金延幸子ロングインタビュー

会員限定

インタビュー

2023.11.17

文/荒野政寿


【Part2】からの続き)


はっぴいえんどのメンバーとの出会いから名盤『み空』へ


――愚のライヴで歌っていた曲で、レコードにならなかったものってあったんですか?

金延幸子 ないんじゃないかしら。何を歌っていたかな……。最初のソロシングルに入る「ほしのでんせつ」はもう歌っていて、あの曲がライヴでは一番ペンタングル的な演奏をしていたと思います。あとはURCからシングルを出した「あかりが消えたら」、「マリアンヌ」とか。オリジナル曲はそんなにたくさん作りませんでした。「あかりが消えたら」は門間裕さんという方が歌詞を書いてくれて。愚はうまい人ばかりだから、私にはギターを弾かせてくれなかった。チーンッていうシンバルだけ(笑)。あとは、レコードに入っているトライアングルも私が叩いたんですよ。ただ、私はギターを弾くのが好きだったので、あの曲でギターを持たずに歌っていると、なんだか自分じゃないような感じがしてね。私が書いた曲でもなかったし。その頃、もういろんな曲ができていて、「み空」もできかけていました。瀬尾ちゃん(瀬尾一三)がお手伝いしてくれて、私が「ここまでできたんだけど、ここからどう行ったらいい? シンプルなコードチェンジができないかな」と相談すると、「こういうのもあるよ」といくつか見せてくれたんです。それを参考にして、自分が弾きやすい押さえ方を考えていきました。

――そしてソロになり、東京へ出てくるわけですが。家賃はURCがいくらか出してくれたんですか?

金延幸子 いや、全然。一番上の姉に相談して、住むところを世話してもらって。お友達とふたりで3畳ぐらいの本当に狭い部屋に住んで、私は押入れで寝ていました。中にテントみたいなのを作ってね。URCは大阪にいた頃は、一応月給みたいなものを出してくれていたんですよ。すごく安かったけれど。私はそのお金をせっせと貯めて、(中川)イサトちゃんが探してきてくれたマーティンのギターを買うことができたんです。ライヴでもそのギターを使っていました。

――初めてはっぴいえんどをご覧になったのは、まだ大阪にいらっしゃる頃ですか?

金延幸子 その辺がはっきりしないのよね。大阪に彼らが来たと思うんだけど、もしかしたら東京だったかも。私がソロになって黒テントのオープニングをやっているときに、「トゥートゥートゥー」と歌っていたので、トゥートゥートゥーのお姉さんと呼ばれていた頃です(笑)。そこではっぴいえんどを初めて観て、日本にもこんなバンドが出てきたのかと思って驚きました。詞にも気を取られて、面白いなと思って。ああいう風に自分たちのスタイルを作ってしまったロックバンドは、当時の日本にはいなかったですからね。ジャックスはいたけれど、彼らはもっとジャズっぽかったので。それで、その黒テントをやっているときにはっぴいえんどと知り合って、細野晴臣さんや大滝詠一さんたちと仲良くなったんです。

――大滝さんとは音楽の話をしました?




金延幸子
『み空』

2023年10月25日発売



金延幸子
『Fork in the Road』

2023年10月25日発売




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