2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード

⑪金延幸子『み空』|はっぴいえんど関連作品ディスクレビュー

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レビュー

2023.11.16


金延幸子
『み空』

1972年9月1日発売

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1. み空
2. あなたから遠くへ
3. かげろう
4. 時にまかせて
5. 空はふきげん
6. おまえのほしいのは何
7. 青い魚
8. 雪が降れば(ようこさんにささげる)
9. 道行き
10. はやぶさと私
11. 春一番の風は激しく


“これしかできない、どうしようもない”という衝動からこぼれ落ちた唯一無二のデビュー作

 筆者が編集長をつとめる音楽メディア『TURN』で、先ごろ金延幸子の最新インタヴュー記事を公開した。これは彼女が’98年にリリースしたアルバム『Fork in the Road』のリプロダクション盤の発売に際して高橋健太郎さんに取材してもらったものなのだが、このインタヴュー記事の中、’72年に発表した『み空』より以前……まだ女性が曲を書いて歌うことが少なかった時代、そもそもどうして曲を書こうと思ったのか? という質問への回答がとりわけ興味深い。いわく、他の人の真似ることができなかったから自分で曲を作った、とのこと。おそらく“カヴァー曲 or オリジナル曲”という概念が金延幸子には最初からなく、歌を歌いたいなら作るしかないという行動力が彼女のソロ・アーティストとしての契機となったのだろう。中川イサト、瀬尾一三、松田幸一らとのグループ“愚”を経て制作された本作を、そういう当時のエピソードを踏まえて聴くと、“自分が歌うための音楽”という凛々しさが匂い立つ。

文/岡村詩野




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