2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード

⑨はっぴいえんど『風街ろまん』|はっぴいえんど関連作品ディスクレビュー

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レビュー

2023.11.14


はっぴいえんど
『風街ろまん』

1971年11月20日発売

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1. 抱きしめたい
2. 空いろのくれよん
3. 風をあつめて
4. 暗闇坂むささび変化
5. はいからはくち
6. はいから・びゅーちふる
7. 夏なんです
8. 花いちもんめ
9. あしたてんきになあれ
10. 颱風
11. 春らんまん
12. 愛餓を


現在の東京を取り巻く社会状況からあなたは風を感じることができるのか?

 LP見開きジャケットの内側に路面電車が描かれている。これが、かつて都心を走っていた都電の姿であり、’64年の東京オリンピック開催を機に急速に都市整備が進んだ東京への思慕を象徴したものであることは知られているが、この2作目のリリースから50年以上が経過した今、このアルバムが私たちリスナーに呼びかけるのは、二度目の東京オリンピックがさらに蝕んだ東京という街から、あなたは風を感じることができるのか? という訴えだ。前に立つだけで、こちらが望む飲み物をおすすめしてくるAI自販機が置かれた駅のホームにいると、自由な発想さえ許されない窮屈な閉塞感だけが押し寄せる。そして、この薄気味悪い思いの解放の一助になる音楽が、やっぱり今も本作であるということに安堵する一方、一体自分たちはここで何をやっているのだろう? という焦燥感にも包まれてしまうのだ。

文/岡村詩野




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