2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード
【Part2】金延幸子ロングインタビュー
インタビュー
2023.11.13
文/荒野政寿
(【Part1】からの続き)
秘密結社〇〇教団や愚での活動を経て、ソロ活動のため上京
――金延さんは幼少の頃から音楽に興味をお持ちだったそうですが、ギターを弾き始めたのはいつ頃からですか?
金延幸子 中学と高校の間ぐらいだったと思います。でも最初はフォークソングに興味を持ってなかったんですよ。私はイギリスのいろんなグループ…ビートルズ、アニマルズ、ローリング・ストーンズ、キンクスとか、そっちの方に入っていったんです。うちの兄はクラシックが好きで。『禁じられた遊び』という映画のテーマ曲がすごく流行ったんですよ。それで兄はクラシックギターを買ってきて、その曲をマスターしたんだけど、後が続かない。そのままギターが置いてあったので、お兄ちゃんに「ねえ、ちょっと触っていいかな?」とお願いして。そこから始まったんです。
――一番上のお姉さんは宝塚出身のスター、淀かほるさん(1930年生、1993年没)ですよね。何人姉弟だったんですか?
金延幸子 6人で、私は末っ子なんです。上から姉、姉、兄、姉、兄、私の順で、長女の淀かほるは私より18歳上、下の兄とも5歳離れているので、私はほとんどひとりっ子のような感じで育ちました。長女は私が物心つく頃にはもう家を出て、宝塚の寮に入っていたんです。たまに家に帰ってくるけれど、だいたい私が寝ている遅い時間にきていたので、なかなか会うことができませんでした。だから私がちょっと大きくなった頃に姉さんと初めて会ったときは、怖くてすごく泣きました。この人見たことない、なんでお姉さんなんて言うのかなと思って(笑)。
――淀さんはキリッとしたお顔立ちで、男役も娘役もこなされましたよね。
金延幸子 すごく賢い、頭のいい人で。最初に宝塚に入る時は、彼女が希望したんじゃないんですよ。彼女のお友達が宝塚に入りたくて、ついでにみたいな感じで一緒に行ったら姉だけ抜擢されてしまって。うちの姉は当時の女性としては背が高い方でしたから、宝塚は男役が欲しかったんでしょうね。それで歌ってみたら声も良かったみたいで、合格しました。
――18歳も年が離れていると、淀さんはお姉さんというよりも、お母さんがもうひとりいる感じですか。
金延幸子 そうですね。母も私を産んだときに40歳をちょっと過ぎていましたから。東京へ出てからも姉がいろいろと世話をしてくれました。
――ご家族は皆さん音楽好きでしたか?
金延幸子 はい、みんな音楽が好きでしたね。特に2番目の姉はすごくクラシックが好きで、ベートーベン、モーツァルト、シューベルトとか、いろんなレコードを持っていて。それにプラスしてアメリカのビング・クロスビーとかダイナ・ショアとかも持っていて、家にあった電蓄(電気蓄音機)でレコードをよくかけていました。うんと小さい3歳ぐらいの頃から、毎日のように聴かされていましたね。
金延幸子
『み空』
2023年10月25日発売
金延幸子
『Fork in the Road』
2023年10月25日発売
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