2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード

⑦加川良『教訓』|はっぴいえんど関連作品ディスクレビュー

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レビュー

2023.11.10


加川良
『教訓』

1971年6月1日発売

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1. 教訓1
2. できることなら
3. 悲しい気持で
4. 夜明け
5. 戦争しましょう
6. その朝
7. 求めます
8. 妹に送る唄
9. あきらめ節
10. 赤土の下で
11. ゼニの効用力について
12. 伝道


命の大切さとその裏にある死生観を訴えたデビュー作

 関西フォーク随一のスターである加川良だが、プロテスト・フォーク・シンガーを“演じきった”のはこの1stアルバムだけ。以降は本作で付きまとったフォークのイメージからの逃走を続けたキャリアだったと言える。

 ’20年の緊急事態宣言中に俳優の杏がカヴァー動画をアップしたことで再び脚光を浴びた「教訓1」だって、ラディカルなまでに戦うことからの逃走を奨励する歌だ。続く「できることなら」も他者との対立を避けるために、関わることすら忌避する過剰なまでの逃走本能。それでいて厭戦思想に腰を据えることは良しとせず「戦争しましょう」と逆張りする天邪鬼っぷり(高田渡「自衛隊に入ろう」と同手法の皮肉であることは言わずもがな)。まるで全方位から逃走した先のユートピアを目指しているかのような佇まいである。

文/峯大貴




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