2023年11月号|特集 はっぴいえんど+URCレコード

①エイプリル・フール『APRYL FOOL』|はっぴいえんど関連作品ディスクレビュー

レビュー

2023.11.1


エイプリル・フール
『APRYL FOOL』

1969年9月27日発売

購入はこちら ▶

1. トゥモロウズ・チャイルド
2. いつか…
3. 人間神話の崩壊
4. 母なる大地-1
5. タンジール
6. プレジング・マイ・タイム
7. 暗い日曜日
8. 聰明な死が示す怪奇な魅惑的な趣味の象徴
9. 母なる大地-2


はっぴいえんどの胎動を感じさせる、サウンド志向の強い唯一のアルバム

 細野晴臣と松本隆のふたりが、はっぴいえんど結成前に在籍していたのがエイプリル・フールだ。メンバーは、ヴォーカルの小坂忠、ギターの菊池英二、キーボード柳田博義(のちの柳田ヒロ)、ベースの細野晴臣、ドラムスの松本隆(当時のステージ・ネームは松本零)の5人。

 このエイプリル・フールには前身があり、’68年にモンキーズ・ファンクラブ日本支部の企画による結成されたグループ・サウンドのザ・フローラルが母体となっている。フローラルからドラムとベースが抜けた際に、柳田の兄がやっていたバンドのベーシストだった細野がメンバーに誘われる。さらに細野は、当時自分が組んでいたザ・バーンズのドラマーの松本を引き入れ、ふたりの加入となった。

 エイプリル・フールは、’69年の9月に日本コロムビアより『APRYL FOOL』でアルバム・デビューした。海外での評価を考え英語歌詞が中心となっていて、当時流行していたアート・ロックなどの影響もありサウンド志向が強く、実験性やメッセージ性が高い作りだ。このあたりがはっぴいえんどとは違うところだといえる。

 それでもすでに、細野も松本もソングライティングに目覚め積極的に参加している。アルバムの中の「暗い日曜日」は、松本隆が作詞し細野晴臣が作曲した日本語によるオリジナル曲。小坂忠がヴォーカルをとっているので雰囲気は違うが、はっぴいえんどへと通じる何かを感じられると思う。

 日本のロック・バンドとしてデビューしたエイプリル・フールだが、メンバー間の音楽性の違いなどがあり約半年後に解散。細野と松本は、大瀧詠一、鈴木茂と共にバレンタイン・ブルーを結成。この4人が名前を変え、はっぴいえんどとなっていくのだ。

文/小川真一




↑↑↑↑はっぴいえんど スペシャルサイトはこちら↑↑↑↑

↑↑↑↑URC スペシャルサイトはこちら↑↑↑↑