2023年10月号|特集 キャンディーズ
【Part2】|キャンディーズ・ストーリー 1972-1978
解説
2023.10.11
文/小川真一
(【Part1】からの続き)
アルバムからのシングル・カットであり、セルフ・カヴァーでもあった「春一番」
キャンディーズは、’73年9月1日に「あなたに夢中」でめでたくデビューを果たした。チャートは36位、最終的な累積売上枚数は15万枚。この1枚で爆発的な人気を得た、とは言い難いもののまずますの成績をおさめたと言ってもいいだろう。当時は、ザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」にレギュラー出演していて、この番組の中でもデビュー曲の「あなたに夢中」を披露している。
続いてすぐにセカンド・シングルの「そよ風のくちづけ」の発売が決まった。この曲は、キャンディーズのファースト・アルバム『あなたに夢中〜内気なキャンディーズ〜』に収録されていた「盗まれたくちづけ」をリメイクしたもの。山上路夫の歌詞も、森田公一の旋律も基本的には変わりはないのだが、メイン・ヴォーカルが異なっている。なおこの「盗まれたくちづけ」のアルバム収録オリジナル・ヴァージョンはスーちゃんがリード・ヴォーカルをとっているが、最初にミキちゃんがヴォーカルをとり、ニ番をランちゃんが歌い、最後をスーちゃんが歌うという別ヴァージョンが存在している。機会があれば、どこかで聴き比べていただきたい。
「そよ風のくちづけ」のチャートは39位、累積の枚数が11万枚と、デビュー作を少し下回っている。曲としては3人の魅力が存分に出ていただけに少し残念。
この年の3月に、キャンディーズのデビュー・コンサートが開かれている。場所は東京の代々木にある山野ホール。オリジナル曲に加えて、ザ・ホリーズの「バス・ストップ」、ディープ・パープルノ「ブラック・ナイト」など洋楽のカヴァーを交えて、約20曲を歌いまくったという。
キャンディーズ
「危い土曜日 / 青春の真中」
1974年4月21日発売
’74年4月21日に発売された「危い土曜日」は、曲調が変わりエレキ・ギターが鳴り響き、ブラス・セクションの入ったロッキン・ナンバーに仕上がっている。この曲はエレキ・ベースがかっこいい。リフレインのところでは、まるでベース・ソロのようなフレーズを弾いている。振り付けもダイナミックになっていて、この曲を歌いながら踊りながらハーモニーをつけるのは大変だったと思う。
4弾目となった「なみだの季節」は、秋らしいしっとりとした曲調。千家和也が作詞をし、穂口雄右が曲を提供している。サビのリフレインはミキとランが歌い、メイン・ヴォーカルのスーが別の歌詞を歌うという独特の構成となっているのが面白い。この曲もハーモニーがとても美しい曲だ。
続くシングル「年下の男の子」で変化が訪れる。3人の立ち位置が変わるのだ。センターがスーからランに交代し、そのランの右側がスー、左側に位置するのがミキになったのだ。これはランのファンに男子が多かったこと、それにこの「年下の男の子」の歌詞の女性が年上のお姉さんっぽい雰囲気だったこともあり、この配置転換が決まったのだ。
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