2023年10月号|特集 キャンディーズ

レビュー|ALBUMS|⑤その気にさせないで

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レビュー

2023.10.6


キャンディーズ
『その気にさせないで』

1975年10月1日発売

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1. その気にさせないで
2. 片想いの午後
3. バイ・バイ・センチメンタル
4. 雨と涙とあのひとと
5. お元気ですか
6. どれがいいかしら
7. 二人のラブトレイン
8. 秋のスケッチ
9. あなたの悲しみ
10. 恋の作戦
11. 帰れない夜
12. 一枚のガラス



大人の階段を上がる少女たちの戸惑いをニュー・ソウル~ディスコ・サウンドと共に表現

 それまでカントリー・ガール然とした3人の素朴な風合いをとらえたジャケット写真だったのが、ここでは雨に打たれたように髪は濡れ、白いブラウスも肌が透けていて少しエロティック。弾けるような笑顔も消え、シリアスな表情でじっとカメラを見つめる。そして実際にフィリー・ソウル調のシングル曲「その気にさせないで」からスタートする本作は、大人の女性像を垣間見せる曲が多い。「あなたの悲しみ」「帰れない夜」といったこの時代のニュー・ソウル~ディスコ・サウンドをうまくとりいれた曲調からは、夜の都会のムードも伝わってきて、「お元気ですか」(加瀬邦彦)と「二人のラブトレイン」(宮本光雄)を除く10曲の作曲を担当する穂口雄右が、こうした曲を歌わせることでキャンディーズというグループ自体を成長させようとしていたのだろうこともよくわかる。

文/岡村詩野



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