2023年10月号|特集 キャンディーズ
レビュー|ALBUMS|①あなたに夢中/内気なキャンディーズ
レビュー
2023.10.2
キャンディーズ
『あなたに夢中/内気なキャンディーズ』
1973年12月5日発売
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1. キャンディーズ オープニング
2. なみだ草
3. 盗まれたくちづけ
4. 内気な年頃
5. はぐれた小鳩
6. あなたに夢中
7. 愛への出発
8. 傷つく世代
9. 君が美しすぎて
10. 避暑地の恋
11. あなたへの愛
12. 空いっぱいの幸せ
最初から安定感抜群だったコーラス重視の確かな歌唱力
全員が東京音楽学院のスクールメイツ出身であることから、無名ながら、デビュー前年の『紅白歌合戦』で南沙織が「純潔」を歌うバックでパンダの着ぐるみたちと一緒に踊っていたり、『8時だョ!全員集合』にもレギュラー出演したりと着々と場数を踏んでいた3人。’73年9月に発売されたデビュー曲「あなたに夢中」はチャート36位と振るわなかったが、コーラス重視の確かな歌唱力は最初から安定感抜群だった(ハーモニー含めて上手いが、歌の表情は少し硬い)。
この’73年12月5日発売の1stアルバムは、森田公一作曲の「あなたに夢中」を含む12曲入り。1曲目「キャンディーズ」はメンバー紹介のような歌詞が初々しいが、華やかなファンファーレのようなホーンに始まる宮川泰作曲・編曲によるサウンド自体は黒っぽさのあるグルーヴ・ポップとして驚くほどクオリティが高く全曲通しても群を抜いている。同じく宮川泰による「内気なとしごろ」もアレンジ含めていい仕上がり。森田公一によるいかにもこの時代の歌謡曲らしい曲との混合具合が興味深い。レコードではB面に相当する7~12曲目は全曲カヴァーで、『紅白』のバックで踊った南沙織、天地真理など時の人気女性歌手の曲だけではなく、郷ひろみ、沢田研二、野口五郎ら男性陣の曲にもトライしている。半分がカヴァーというのは初期のザ・ビートルズやザ・ローリング・ストーンズのようだ。
文/岡村詩野
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