2023年10月号|特集 キャンディーズ

レビュー|SINGLES|①あなたに夢中

レビュー

2023.10.2


キャンディーズ
「あなたに夢中」

1973年9月1日発売

Side A
「あなたに夢中」
作詞:山上路夫/作曲:森田公一/編曲:竜崎孝路
Side B
「なみだ草」
作詞:山上路夫/作曲:森田公一/編曲:竜崎孝路


最初から安定感抜群だったコーラス重視の確かな歌唱力

 記念すべきデビュー・シングル。エレクトリック・ギターのリフと舞い降りるホーンの響きに導かれて歌に入っていくそのワクワクするようなアレンジは、彼女たちの未来を予見させるかのよう。リード・ボーカルは、当時は立ち位置もセンターだったスー。「透き通って、鼻にかかっていて」(*)とミキが表現するとおりのスーのソロ・パートも素晴らしいが、ランとミキのコーラス・ワークも見事で、全体を通して三声のハーモニーが曲に厚みを持たせている。

 こういうところからは、キャンディーズはアイドルでありながらも、アメリカの女性コーラス・グループであるシュープリームスのような、しっかりとしたハーモニーを聴かせられる存在を目指していたのだろうと思わされる。
この曲のレコーディングについて蘭は、「一生懸命に歌ったことしか憶えていない」(同上)と言っているが、まさに“デビュー曲に夢中”な状態での録音だったのだろう。

 B面収録曲は「なみだ草」。やや歌謡曲色が濃い、しっとりとした曲調で、スーの歌唱力がA面以上に際立っている。

*『Candies The Platinum Collection~50th Anniversary~』同梱「伊藤蘭×藤村美樹スペシャル対談」ブックレットより

文/細川真平



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