2023年8月号|特集 EPIC 45

EPICデビュー・アルバム名鑑45|90s-Now|㊸菅田将暉『PLAY』

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レビュー

2023.8.30


菅田将暉
『PLAY』

2018年3月21日発売

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1. さよならエレジー
2. いいんだよ、きっと
3. 見たこともない景色
4. ピンクのアフロにカザールかけて
5. 風になってゆく
6. 台詞
7. スプリンター
8. ゆらゆら
9. 呼吸
10. 浅草キッド
11. 灰色と青(+ 菅田将暉)
12. 茜色の夕日


音楽への邪気のない愛情が底辺にあるからこそ響く歌唱力と表現力

 菅田将暉にシンガーとしての歌唱力と表現力があることは、『紅白歌合戦』など数々の歌番組への出演で広く知られている。しかし、ただうまいのではなく、音楽への邪気のない愛情が底辺にあるからこそ響いてくる、ということは特筆すべき点だろう。映画『キセキ -あの日のソビト-』への出演から結成されたユニット、グリーンボーイズ(菅田、横浜流星、成田凌、杉野遥亮)でのCDデビュー(’17年1月)の方が一歩先だったが、その前年の秋にはすでにauのCM曲として最初こそクレジットがされていなかったが菅田が歌う楽曲が使用されていた。その曲こそ、ソロ名義でのデビュー曲で、本作である1stアルバムにも収録されている「見たこともない景色」(作詞・篠原誠、作曲・飛内将大)。つまりシンガーとしての力量が発揮される流れは極めて綿密な計画とともに進められていたことになる。しかしながら、実際に疾走感あるこのデビュー曲で熱唱する菅田自身は、そうしたプロモーションとは裏腹にただ、ただ溌剌としていて、歌うことの快楽と音楽に向き合える歓びを大いに堪能しているかのよう。石崎ひゅーいが作詞作曲した「さよならエレジー」(3枚目のシングル)も、そうした歌うことのカタルシスが伝わってくるストリート・ロック・タイプの曲だ。

文/岡村詩野


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