2023年8月号|特集 EPIC 45

EPICデビュー・アルバム名鑑45|90s-Now|㉓真心ブラザーズ『ねじれの位置』

レビュー

2023.8.1


真心ブラザーズ
『ねじれの位置』

1990年3月1日発売

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1. どかーん
2. 君と金さえあれば
3. ふわふわ人
4. ビーンマンのうた
5. ともだち
6. 分類
7. のり弁女
8. 戦争で負けた兵士は必死になって走る
9. 最終電車
10. うわさ
11. スランプ
12. さるまわし
13. うまくは言えないけど
14. 働けど
15. きいてる奴らがバカだから
16. パンクロッカーの哀しみ


気取らず、浮かれもせずに、世界の矛盾を穿つような言葉で歌う

 ニュース番組のスポーツコーナー、高校野球の応援歌、自動車や飲料水のCMでおなじみの「どかーん」で始まる真心ブラザーズのデビュー・アルバム。真心ブラザーズは元々、早稲田大学の音楽サークルGEC(Guitar Enjoy Club)に在籍していたYO-KINGと桜井秀俊が、土曜昼間に放送されていたフジテレビの番組『パラダイスGoGo!!』内のコーナー「勝ち抜きフォーク合戦」に参加するために結成したデュオである。ふたりはこのコーナーで勝ち抜き、メジャー・デビューへと至った。

 さる歌人が昔エッセイで、バブル景気で皆が浮かれに浮かれていたときに、THE BLUE HEARTSというバンドが、素直で飾らないメッセージを放つ姿を目の当たりにして、衝撃を受けた、といったことを書いていた。真心ブラザーズのデビューもまたバブルの頃である。彼らの場合、素直というよりひねてくれてはいるが、気取らず、浮かれもせずに、世界の矛盾を穿つような言葉を歌っていた。彼らのバンカラな気質は、キラキラした時代のカウンターとして異彩を放っていたのではないか。

「フォーク合戦」で頭角を現した真心ブラザーズだとはいえ、「きいてる奴らがバカだから」では、骨太なロック路線の萌芽がすでに示されている。「さるまわし」は、ザ・ローリング・ストーンズのカヴァーでも知られるドン・コヴェイの「マーシー、マーシー」のお茶目な替え歌。

文/鳥居真道


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