2023年8月号|特集 EPIC 45

EPICデビュー・アルバム名鑑45|80s|①一風堂『NORMAL』

レビュー

2023.8.1


一風堂
『NORMAL』

1980年3月21日発売

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1. ADVENTURE
2. ブレイクアウト・ジェネレーション(狂育世代)
3. ブラウン管の告白
4. TV SCENE
5. 電気人形
6. PANIC IN THE CITY
7. I LOVE YOU
8. 思春期 PARTⅡ
9. チャイニーズ・レゲエ
10. ESCAPE
11. 心配しないで
12. MORNING FANTASY


高度な演奏技術をもってフレッシュで珍奇なアイデアを提示

 土屋昌巳が中心となって結成された一風堂のデビュー作だ。土屋は元々、りりィのバック・バンド“バイバイ・セッション・バンド”や大橋純子のバック・バンド“美乃家セントラル・ステイション”に参加するなど、キャリアを積んだギタリストだった。そんな土屋が、鈴木茂のバック・バンドで一緒になった見岳章(Key)、藤井章司(Dr)、平田謙吾(Ba)を誘って始めたのが一風堂である。ベースはのちに赤尾敬文に交代した。

 一風堂として山本翔のバック・バンドを務めたのち、満を持してリリースされたのが『NORMAL』だ。ここに収められた楽曲は、シンセサイザーやシーケンサー、ドラムマシンをといったハイカラな機材を駆使して、60'sポップス、マージービート、レゲエ、サーフ、プログレ、フリップ・アンド・イーノ風といったサウンドをパンク、ニューウェイヴ的な突飛なセンスで再構築したものである。思いついたことは全部やるという姿勢が窺える。クリエイティヴィティが爆発していたのだろう。

 いかにフレッシュで珍奇なアイデアを提示するか。それが当時のニューウェイヴの“お題”であった。高度な演奏技術は前時代的なものの象徴だったため、邪魔に思われがちだった。しかし、それを捨てずに勝負したところに一風堂のおもしろさがあるように思う。立ち位置としては、イギリスのポリスに近いと言えるかもしれない。

文/鳥居真道


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