2023年7月号|特集 山下達郎 RCA/AIR YEARS

『IT'S A POPPIN' TIME』Disc2-C-Side|山下達郎RCA/AIR YEARS徹底レビュー

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レビュー

2023.7.11


『IT'S A POPPIN' TIME』
山下達郎

1978年5月25日発売

SIDE C
1. エスケイプ(作詞・作曲:山下達郎)
2. HEY THERE LONELY GIRL(作詞:アール・シューマン・作曲:リオン・カー)


『IT'S A POPPIN' TIME』 RCA/AIR YEARS Vinyl Collection
2023年9月6日発売


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「エスケイプ」での強靭な演奏が見せる“シティ・ミュージック”へのアンチテーゼ

「エスケイプ」も、本盤で初お披露目となった新曲だ。1970年代半ばから後半にかけて、当時の一部音楽雑誌では山下達郎やティン・パン・アレー周辺の音楽を“シティ・ミュージック”などと呼称しており、一般誌でも“シティ・ガール”や“シティ・ボーイ”という用語が氾濫していた。この曲はそういう状況へのアンチテーゼとして作られたのだという(歌詞でも、その「浮ついた」空気を攻撃している)。今もなお何かと“メロウさ”や“甘さ”などの視点から語られがちな山下の音楽だが、その核心部分は、このライヴ・アルバムで聴けるように極めて強靭なものだ。ジワジワと熱を帯びていくこの「エスケイプ」には、山下の中にあるカウンター・カルチャー性というか、パンキッシュな情念が脈打っているように感じる。

文/柴崎祐二