2023年7月号|特集 山下達郎 RCA/AIR YEARS

『CIRCUS TOWN』 A-Side|山下達郎RCA/AIR YEARS徹底レビュー

レビュー

2023.7.3


『CIRCUS TOWN』
山下達郎

1976年12月25日発売

SIDE A [NEW YORK SIDE]
1. CIRCUS TOWN(作詞:吉田美奈子 / 作曲:山下達郎)
2. WINDY LADY(作詞・作曲:山下達郎)
3. MINNIE(作詞・作曲:山下達郎)
4. 永遠に(作詞:吉田美奈子 / 作曲:山下達郎)


『CIRCUS TOWN』 RCA/AIR YEARS Vinyl Collection
2023年8月2日発売


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敬愛していた名匠と作り上げた“ニューヨーク・サイド”

 山下達郎の記念すべき1stソロ・アルバムは、当時はまだ珍しかった海外レコーディング作品となった。A面はニューヨークのメディア・サウンド・スタジオで録音され、フォー・シーズンズなどの仕事を通じてかねてより山下が敬愛していた名匠、チャーリー・カレロがプロデュースとアレンジを務めた。アラン・シュワルツバーグ(ドラムス)、ウィル・リー(ベース)、ジョン・トロペイ(ギター)、ランディ・ブレッカー(トランペット)ら、参加ミュージシャンも豪華だ。

 タイトル曲「CIRCUS TOWN」は、ずばり“ニューヨーク”をイメージして作られたという。カレロ編曲の流麗なストリングスに、一流セッション・ミュージシャンのツボを抑えた演奏が絡む様は、まさに夢見心地。

 続く「WINDY LADY」ばシュガー・ベイブ後期に作曲されたレパートリーで、シカゴ市の愛称“ウィンディ・シティ”から着想を得たという。クールさとファンキーさが融合する名演だ。

 「MINNIE」はジャズやブラジル音楽のハーモニーを消化した洒脱なバラードで、いかにもニューヨーク風の洗練味を感じさせてくれる。

 「永遠に」は、作詞も務めた吉田美奈子のために書き下ろした曲の自演版。同じく洒脱な和音を交え、バリー・マンらの東海岸ポップスへのオマージュを聴かせる。

文/柴崎祐二