2023年7月号|特集 山下達郎 RCA/AIR YEARS

第1回:吉田美奈子|山下達郎RCA AIR YEARS ミュージシャン名鑑

コラム

2023.7.3

文/北村和孝



吉田美奈子


 山下達郎がシュガー・ベイブ時代、運命的な出会いを果たしたのが吉田美奈子だ。

 荒井由美『MISSLLIM』(’74年)のコーラスでシュガー・ベイブと共演以後、ソウルフレンドというべき間柄となったと言っていい。美奈子の『EXTREME BEAUTY』(’95年)でも共演するなどその後の親交が決して薄れたわけではないが、’82年辺りまではとりわけ最強コンビとしてのイメージが強い。互いの作品でコラボレーションし続けたことにより、『FOR YOU』や美奈子の『LIGHT’N UP』(共に’82年)を聴き比べるように追いかけてきたリスナーは多いはずだ。

 美奈子の『FLAPPER』(’76年)に提供した「永遠に」「LAST STEP」は、同年作の1stソロアルバム『CIRCUS TOWN』でセルフカヴァー。ブレイクの契機となった「BOMBER」の作詞、コーラスを手掛けたのも美奈子だ。

 また、歌詞に秘められたメッセージ性などから、この時代は思想面においてもお互いに影響を受けあっていた、シェアしあっていたようなところもうかがえる。数えきれないほど名演がある二人だが、奇跡的とも言えるのが、達郎、美奈子双方共にマッチするソウルフルな声質、そしてなんと言っても抜群の声量である。ロッキングオン刊『BRIDGE』での対談で、二人共コーラスタッグとしては最強という認識があったと語られたことも。

 「SPARKLE」(『FOR YOU』)のファットながらも息のあったシャープなコーラスアンサンブル、「FUNKY FLUSHIN’」(『MOONGLOW』/’79年)での掛け合いの鮮烈さはいつ聴いても圧倒的なインパクトである。



吉田美奈子の参加アルバム

『CIRCUS TOWN』(’76年)※作詞のみ
『SPACY』(’77年)
『IT'S A POPPIN' TIME』(’78年)
『GO AHEAD!』(’78年)
『MOONGLOW』(’79年)
『RIDE ON TIME』(’80年)
『FOR YOU』(’82年)

https://www.tatsurorcaairyears.com/