2023年6月号|特集 林哲司の50年
B-Side⑯ジュディ・オング「愛の堕落」|林哲司を深く知るための名曲レビュー
レビュー
2023.6.22
「愛の堕落」
ジュディ・オング
1988年6月25日発売
作詞:吉元由美
作曲:林哲司
編曲:鷺巣詩郎
収録アルバム『BIG ARTIST BEST COLLECTION ジュディ・オング』(上記ジャケット)
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ストック・エイトキン・ウォーターマンを思わせるユーロビートに挑戦
ジュディ・オングは「魅せられて」(’79年)だけの人などではなく、60年代から多くのシングル曲をリリースしてきたキャリア豊かな歌手である、ということを前提にしてこの曲を聴くと、さまざまなタイプの曲を歌いこなせる表現力と、艶やかな声の魅力にノックアウトさせられる。サウンドは英国のプロデューサー・チーム、ストック・エイトキン・ウォーターマンが手がけた数々のヒット曲(バナナラマ「ヴィーナス」、デッド・オア・アライヴ「ユー・スピン・ミー・ラウンド」など)を思わせるユーロビート調。ヤマハのDX7、薄いパッドを用いたシンセ・ドラムなどの普及で世界規模で大流行したユーロビートの、打ち込みを用いたハイ・エナジーなサウンドがここで大々的に取り入れられているのが大きな特徴で、近年この曲が俄かに再評価されているのも、ジュディのしなやかでパンチの効いたヴォーカルと音との均整がとれているからに他ならない。
文/岡村詩野
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