2023年6月号|特集 林哲司の50年

A-Side⑮松本伊代「信じかたを教えて」|林哲司を代表する名曲レビュー

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レビュー

2023.6.21


「信じかたを教えて」
松本伊代

1986年8月5日発売
作詞:川村真澄
作曲:林哲司
編曲:船山基紀

収録アルバム『風のように』(上記ジャケット)

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大人の女性像を描き出す少し翳りのある落ち着いたシティ・ポップ

 “伊代はまだ16だから”(「センチメンタル・ジャーニー」)そのままに、筒美京平のカラフルな曲が初期のキュートなイメージを印象づけていた松本伊代だが、20歳を過ぎたあたりから大人の女性像を想定した曲を歌うようになっていく。特に21歳を迎えた’86年夏から’87年春にかけて、作詞/川村真澄、編曲/船山基紀とのチームで連続リリースしたシングル3作は彼女の歌手としてのキャリアにおいて重要だ。“恋愛三部作”と呼ばれるようになるこのシングルのA面3曲はいずれもしっとりとした雰囲気を纏っていて、中でも3部作第1弾となったこの曲と「サヨナラは私のために」は少し翳りのある落ち着いたトーンのシティポップ調になっている。

文/岡村詩野