2023年6月号|特集 林哲司の50年

B-Side⑩松田聖子「LET'S BOYHUNT」|林哲司を深く知るための名曲レビュー

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レビュー

2023.6.14


「LET'S BOYHUNT」
松田聖子

1983年12月10日発売
作詞:松本隆
作曲:林哲司
編曲:井上鑑

収録アルバム『Canary』(上記ジャケット)

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歌謡曲の世界を熟知したプロの手腕を感じさせるコード展開

 ドゥービー・ブラザーズ「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」あたりを想起させる夏のウエスト・コースト・サウンドを視野に入れたようなアレンジと、冬から春近い季節のゲレンデの恋を歌った歌詞(松本隆)とのギャップがなかなかおもしろい曲。来生たかお、大村雅朗、呉田軽穂(松任谷由実)、井上鑑と分け合う形で林も2曲を提供したこのアルバム『Canary』自体、松田聖子の全盛期を飾る1枚なのでどの曲も申し分なくいいが、とりわけこの曲は、A♭(Aフラットメジャー)を主軸にしたブライトだけどほんの少しだけ落ち着きのあるトーンのコード展開が、スキー場で出会った彼への照れと焦らす思いとが交錯した歌詞をリアリティあるものにしていて歌謡曲の世界を熟知したプロの手腕を感じさせる。

文/岡村詩野