2023年6月号|特集 林哲司の50年

A-Side⑤中森明菜「北ウイング」|林哲司を代表する名曲レビュー

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レビュー

2023.6.7


「北ウイング」
中森明菜

1984年1月1日
作詞:康珍化
作曲・編曲:林哲司

収録アルバム『ANNIVERSARY』(上記ジャケット)

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80年代の東京のムードを切り取ったドラマティックな編曲の名曲

 杉山清貴&オメガトライブの「SUMMER SUSPICION」(’83年4月発売)を聴いた明菜本人の希望で、同じ康珍化とのコンビによる新曲として依頼された、というのはファンの間では有名な話。実際、AmとDmが多用され、間にCが効果的に挿入されるコード展開も似ているし、クリーン・トーンのギターや清涼感あるシンセがAOR人気真っ盛りの時代を象徴するサウンドも共通していて、双子のような関係の曲でもある(この2曲の間に同じコンビによる杏里「悲しみがとまらない」がリリースされているが、この2曲ほどにはAOR色が強くない)。

文/岡村詩野