2023年6月号|特集 林哲司の50年

A-Side③上田正樹「悲しい色やね」|林哲司を代表する名曲レビュー

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レビュー

2023.6.5


「悲しい色やね」
上田正樹

1982年10月21日発売
作詞:康珍化
作曲:林哲司
編曲:星勝

収録アルバム『AFTER MIDNIGHT』(上記ジャケット)

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瞬間的な開放感を音で流麗に描いた関西弁のバラード

 依頼された林哲司は、上田にジョー・コッカーのイメージを重ねながら、得意とするAOR風のアプローチで美しいバラードを書き上げた。しかし康珍化によって、そこにまさかの関西弁の歌詞が充てられてしまう。英語で歌われることを想定していたメロディに、関西弁が合うわけがないと思った林だが、その懸念は有線放送での人気の拡大とともにじわじわと消え去っていった。この一見異様な取り合わせが相乗効果を生み、結果的に大ヒットとなったのだ。

文/片島吉章