2023年6月号|特集 林哲司の50年
第1回:阪田マリン(ザ・ブラックキャンディーズ)|私の好きな林哲司
コラム
2023.6.1
文/阪田マリン
ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER
昭和好きは誰もが崇拝しているであろう林哲司さん。松原みきさんの「真夜中のドア〜Stay With Me」はSNSで楽曲がバズり、海外や日本で大リバイバルがおこっている。今のシティポップ・ブームの火種となったのは「真夜中のドア〜Stay With Me」と言っても過言ではないと思う。Spotifyで「真夜中のドア〜Stay With Me」を調べると、再生回数が2億回超えで本当に驚いた。時代や国境を超えて愛されているのだ。今は配信アプリで様々な国、年代、ジャンルの音楽をすぐに聴くことができる。だからこそ80年代の音楽の素晴らしさも現代に伝わっている。
シティポップの代表作とも言える「真夜中のドア〜Stay With Me」や、杏里さんの「悲しみが止まらない」、杉山清貴&オメガトライブさんの「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」など、沢山の有名な作品の作編曲を手掛けたのが林哲司さんだ。私は林哲司さんの楽曲を聴くとまだ生まれていなかった時代にタイムスリップする事が出来る。キラキラと輝く海、浜辺で聴くと心がジーンとなり黄昏る事が出来る。林哲司さんが作るトラックは懐かしく、そして新しさもあり、言葉では言い表せないナウいシティ感が満載だ。メロディーを聴くと私が昔聴いていた頃の懐かしい風景がうかんでくる。
中学2年生の頃、家族で和歌山の白浜に旅行に行った。帰り道の車の中で「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」が流れていた。当時私はその歌を知らなかったのだが、母と父が意気投合して車の中で熱唱していた。窓の外を見るとキラキラした海が見えて、風景と音楽がマッチしていて私は「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」が大好きになった。当時はスマートフォンなど持っていなかったので、家に帰ってレンタルCDショップに行って「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」をレンタルしてウォークマンに入れた。塾の帰り道や寝る前にずっと聴いていた。当時は幼すぎて歌詞の意味などはあまり気にせずに聴いていたのだが、メロディーがお洒落すぎて虜になっていた。中学校の友達はこの歌知らないんだろうな。13歳でこの歌をウォークマンで聴いているのは私だけじゃないのかな。そんな気持ちになり特別感というか優越感を感じた。
私は今「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」を聴いているのだが、そんな事を思い出しながらこのエッセイを書いている。家族で行った白浜、中学生の頃の思い出、初恋、沢山のことが蘇ってきた。林哲司さんがいなければシティポップ・ブームは来なかったかもしれない。そして時代を超えて愛されるこの名曲は誕生していなかった。
阪田マリン(さかた・まりん)
●2000年12月22日生まれ。昭和カルチャーが大好きで“ネオ昭和”と自ら命名し、ファッションやカルチャーを発信する人気インフルエンサー。数々の番組や企業からの出演オファーが殺到中! SNSでの総フォロワー数は約15万人。同じくZ世代で昭和歌謡に精通するシンガーの吉田カレンとタッグを組み、世に放つ懐かしくも新しいネオ昭和歌謡プロジェクト「ザ・ブラックキャンディーズ」を結成。昭和98年4月29日にシングル「雨のゴールデン街」でデビュー!
https://www.instagram.com/marin__neo80s/
https://twitter.com/marin_syowasuki
ザ・ブラックキャンディーズ
「雨のゴールデン街」
昭和98年4月29日発売
-
第2回:倉品翔(GOOD BYE APRIL)|私の好きな林哲司
コラム
2023.6.7