2023年4月号|特集 大滝詠一 2023

【Part2】鈴木慶一 インタビュー|「ゆうがたフレンド(USEFUL SONG)」誕生秘話と大滝詠一の想い出を語る

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インタビュー

2023.4.24

インタビュー・文/岡村詩野


『大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK / NIAGARA ONDO BOOK』に完全未発表の“新曲”として収録された「ゆうがたフレンド (USEFUL SONG)」。大滝と親交の深いムーンライダーズの鈴木慶一が特別ゲストで参加し、大滝と鈴木による伝説のユニット=“冗談ぢゃねーやーず”が、その曲で復活した。50年という年月を経て届けられた“新曲”の誕生秘話、そして大滝詠一との想い出をじっくりと語ってもらった。

【Part1】からの続き)

帰宅して受講できなかった“大滝学校の講義”


── そもそも慶一さんが大滝さんと出会ったのは、はっぴいえんど時代です。今回の“大滝詠一と鈴木慶一(冗談ぢゃねーやーず)”という名義ももともと大滝さんの1stソロ・アルバム『大瀧詠一』(’72年)に収録されている「いかすぜ! この恋」に慶一さんが参加した時に“結成”されたコーラス・ユニットの名前ですので、今回が実に50年ぶりに時空を超えて“再結成”ということになりますね。

鈴木慶一 そう。私はもともとはっぴいえんどが野音でライヴをやる時にギターとコーラスをやるために呼ばれて、その後、ソロの録音参加の時にエルヴィス・プレスリーのバックコーラスの「ジョーダネーヤーズ」を文字って我々ふたりのことを「冗談じゃねーやーず」と名付けた。で、『大瀧詠一』のレコーディングで「いかすぜ! この恋」のクレジットがそうなった。「ウララカ」とどっちが先か忘れてしまったけど、大滝さんの作品に参加したのは初めてのことでした。はっぴいえんどのメンバーの録音に参加ってのもね。

── その後もスタジオに呼ばれて?

鈴木慶一 そう。都内のスタジオに呼ばれました。呼ばれて、行く、という感じ。今思えば、大滝さん、ソロになってからどんどんステージに立つことをしなくなっていくわけだけど、私は一緒にステージに立ったこともあるし、そうやってコーラスにも参加しているんだよね。福生のスタジオの話になるけど、確か3回くらいかな、福生には行ってるんだけど、毎回すごいんだよ、もう勉強会って感じで。私が訪ねた時は行くたびにドラマーが違った。林立夫と、ファー・イースト・ファミリー・バンドの高崎静夫さん、あと、ピンク・レディーのバックをやっていた宗台春男さんという方。あの時は岡田(徹)くんも白井(良明)もいたと思う。



鈴木慶一(すずき・けいいち)
●’51年東京生まれ。’70年頃より音楽活動を開始し、あがた森魚、はっぴえんど等のサポート、また数多くの録音セッションを経験する。’72年に、“はちみつぱい”を結成。日本語によるロックの先駆的な活動を展開しアルバム『センチメンタル通り』をリリース。はちみつぱい解散後に、ムーンライダーズを結成し’76年アルバム『火の玉ボーイ』でデビュー。バンド活動の傍ら膨大なCM音楽、アイドル、演歌など幅広い楽曲提供とプロデュース、『Mother/Mother2』などのゲーム音楽に関わり、人々に大きな影響を与えている。映画音楽では北野武監督の『座頭市』、『アウトレイジビヨンド〜最終章〜』で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。今敏監督の『東京ゴッドファーザーズ』でシッチェス国際映画祭最優秀音楽賞を受賞した。’15年に音楽家生活45周年を迎え、東京メルパルクホールで記念ライヴ(チケットはソールドアウト)を行なった。俳優としての顔も持ち映画やドラマへの出演も多数。

ムーンライダーズ
『Happenings Nine Months Time Ago in June 2022』

2023年3月15日発売

http://www.moonriders.net/
https://columbia.jp/artist-info/moonriders/