2023年4月号|特集 大滝詠一 2023

第17回 吉幾三|昭和コミック・ソング・アーティスト名鑑

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コラム

2023.4.25


吉幾三
『俺らの唄を聴け』

1985年3月25日発売

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吉幾三


 父親は民謡歌手だが、中学卒業後に「歌手になる」と親の反対を押し切り、青森から上京。時代は60年代末、吉の独立衝動を後押ししたのは、その当時の新しい波──グループサウンズやフォークであった。’73年に山岡英二の名でアイドル歌手デビューするも振るわず、芸名を吉幾三と改め、自作自演で臨んだ再デビューシングル「俺はぜったい!プレスリー」(’77年)がスマッシュヒット。軽快なギターストロークはフォークロックのそれで、コミカルな歌詞の根源はアングラフォークを匂わせるもの。その後しばらくは歌謡曲路線でこれといったヒットもなかったが、’84年に千昌夫に提供した「津軽平野」がヒット。その千のバックアップで、千と同じレコード会社から同年末に発売したのが「俺ら東京さ行ぐだ」だった。

文/久保田泰平