2023年3月号|特集 シティポップ・ストーリー

DISC 1-Urban Side-❶「LIGHT'N UP」 吉田美奈子 from album 『LIGHT'N UP』(1982)|コンピレーション『シティポップ・ストーリー』|オリジナル収録アルバム全レビュー

レビュー

2023.3.1


吉田美奈子
『LIGHT'N UP』

1982年9月21日発売

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1. LIGHT'N UP
2. 頬に夜の灯
3. LOVE SHOWER
4. 風
5. MORNING PRAYER
6. 斜陽(REFLECTION)
7. 時の向こう
8. ALCOHOLLER


ポスト・ディスコ、ブラック・コンテンポラリー的なサウンドを咀嚼

 吉田美奈子の9作目となる当作品は、’82年当時のポスト・ディスコ、ブラック・コンテンポラリー的なサウンドを咀嚼してみせたアルバムだ。レコーディングは東京とニューヨークで行われ、ホーン隊としてブレッカー・ブラザーズのオリジナル・メンバーが参加。バッキングは、松木恒秀(gt)、土方隆行(gt)、佐藤博(pf)、富樫春生(pf)、岡沢章(ba)、渡嘉敷祐一(dr)といった超一流ミュージシャンが担当している。エンジニアは吉田の実兄で大滝詠一や山下達郎との仕事でも知られる吉田保が務めた。そして作詞と作曲はほぼ吉田自身によるものだ。

「頬に夜の灯」は、デビュー以来、吉田の持ち味だったメロディの美しさが光る1曲だ。来るJ-POPを先取りしたかのようなサウンドでもあり、今聴いてもフレッシュさが損なわれていないと断言できる。「LOVE SHOWER」はアース・ウインド&ファイアー・マナーのホーンが楽しい1曲で、そのモダンで垢抜けたサウンドに驚かざるをえない。スロージャムの「風」はデュエット曲で吉田のお相手はベーシストの岡沢章。テディ・ペンダーグラスのようなビターでセンシュアルな歌声を披露している。清水靖晃がホーン・アレンジを担当した「ALCOHOLLER」は、ビル・ラズウェルも裸足で逃げ出しそうな異形のプログレッシヴ・ファンクで、その凄まじさに開いた口が塞がらない。

文/鳥居真道




●究極のシティポップ定番コンピレーション!
<企画・選曲・解説: 栗本斉>
Various Artists
『シティポップ・ストーリー CITY POP STORY ~ Urban & Ocean』
2023年3月22日(水)発売
MHCL-30829~30
高品質Blu-spec CD2/2枚組